竹亀の渡辺竹清作煤竹宝石箱

竹亀


竹虎の初代である山岸宇三郎が竹材商として創業した当時、今から120年近い昔の事ですきに時代も全然違うと思いますが、ずっと現在まで続く屋号がすでにあったがです。けんど今の「竹虎」という屋号ではなく、実は、「竹亀」という屋号で営業しよりました。竹亀やった竹屋が、虎の模様が浮き上がる不思議な竹に惚れ込み、土佐の虎竹ばっかり扱う専門業者になりましたきに、全国的に「竹虎」の方が通りがよくなり、自然に竹虎という屋号になっちゅうがです。


だから、渡辺竹清先生の、この煤竹宝石箱を拝見した時には上蓋に鎮座した銀色の亀が、こじゃんと気に入って、こりゃあ、まっこと何か縁があるがに違いない、そう勝手に思いこんで、そのまま頂いてきたがです。


渡辺竹清作宝石箱


そもそも、宝石箱自体が上から見ると六角形で亀の形を意識した作品。深々とした上蓋は、中に収納される貴重な品々を大切に大切に包み込んでくれるような安心感があるがです。たまに、手にとり惚れ惚れと眺めてみます。何か奇をてらう訳でもなく、自然体で、そこにあるだけながですが、魅入らずにはいられないような静かな迫力があります。これが本物の力なのだと思います。


100年も時間を経た煤竹を使い、こんな美しい作品を生みだされる渡辺先生は、まっこと素晴らしいですが、こうやって、籠を何度も何度も見るうちに、飾りの亀のせいですろうか?ふと、会うた事のない初代を思う事があるがです。


幼い頃、虎竹の里の野山で、畦道で遊んでいる時に出会うた、地元のお年寄りの口からも聞くことのあった宇三郎曾じいさん。セピア色になった写真の前に行ったら、何かの拍子に亀が話しでもしてくれんろうか?


竹目打ちの絨毯

竹目打ち


竹には当然ですけんど枝が付いちょります。山からの伐りだしの際には、運ぶのに邪魔になりますので、だいたいはナタで切り落としているのですが、枝の付け根の所は、そのままで竹虎の工場に運ばれてくるがです。そうやって運ばれてきた虎竹、枝の付け根部分ですが、このままでは油抜きの加工もできず製品なりませんので、ひとつ、ひとつ取り除いていく事になるがです。


ウラ(竹の先端のほう)方向より、元からナタなどで払っていけば早いし、簡単ですが、それでは大事な虎竹模様のついた竹表皮までキズつけてしまいます。そこで、その枝の付け根部分には、まず軽く鋸で切れ目を縦に入れ、鋸の背中でトントンッと叩いて取り除いていくがです。


自分の小さい頃には、竹が今とは比べようがない位、出荷されよりましたので、この目打ちと呼ばれる作業を朝から晩までやっていただく専門職のようなおばちゃんが常におられて、トントンッ、トントンッと軽い音をさせて、枝の付け根をとばしていたのを覚えちょります。さてさて、そんな作業が終わる日の傾きだした夕方頃、目打ち作業の現場に行ったらあたり一面が絨毯を敷いた様になっちょりますぞね。そうぞね、竹目打ちの絨毯ぜよ。


こんな小さな、ひとつ、ひとつですけんど、掃除して集めてザザッーーーと一輪車に載せて運ぶとなると、実は結構な重量があって驚きます。学生の頃、ちっくと手伝うた時には、ええっ!?と、意外に思うくらい重くて倒しそうになった程ですちや。塵も積もれば山となる、と言われますけんど、小さな、ひとつ、ひとつがまっこと、凄いものやにゃあと思うたものながです。


迫力の竹硯

竹硯


たまに筆を持つことがあるがです。そうです、そうです、昨年から、ご紹介も始めました日本唯一の虎竹筆も使いますぞね。しかし、まあ、筆文字は習うと言うたち学校でちょこっと習字はしただけですし、基本も何も知らず、考えず、下手なまま書きよりますが、気分が乗ればドンドン書けますし、反対にそうでなかったら、どうしても書く必要があってもなかなか筆が進まない事もあるかです。


そもそも筆を使うキッカケになったのは、毎月書いちょります竹虎通信ぞね。その月々の、ちょっとした虎竹の里の事などを筆文字で書かせて頂きよります。まる10年も続けることができたのは、まっこと、ご覧いただく皆様のおかげですちや、ありがとうございます!


さて、そこで今回ご覧いただきゆうのは竹の硯。硯はご存じのように墨をする為のもので普通は石などで出来ちゅうものが多いと思うがです。地元高知にも三原村という所があって、実は、こちらでは良質の石を使うた三原硯が特産品となっちょります。筆を使うまではあんまり関心がありませんでしたけんど、不思議なもので、ちょっとでも書くようになったら、特に地元高知の硯ですきに、形などが気になって、目についたら見るようになりましたちや。


けんど、この竹硯もなかなかエイですろう?見れば見るほど妙に味があるぜよ。粗々しく削られた彫刻もダイナミックで作者の気概が伝わってきそうぜよ。無骨な男性的な感じがやる気を起こしてくれますし、荒磯に波うつようなデザインが生まれ育った南国土佐の太平洋を思わせてくれるのも素晴らしい。こじゃんと気に入りましたけんど、さすがに、こんな名品を使えるような腕前ではないですき、今回は拝見させていただくだけ。じっくりと観察させてもろうて帰ってきましたぞね。


虎竹の里の夕日

真竹


雪の便りが聞こえてくる日本列島ですけんど、南国高知の冬はこんな感じぞね。自分の小さい頃には雪もチラホラありよりましたが、ここ最近では、海に近い平野部や虎竹の里ではほとんど雪が降るとか、積もるという事はなくなっちょります。そんな中、真竹の湯ぬき作業は、この季節の風物詩のひとつ。竹虎は、虎斑竹(とらふだけ)ばっかり扱うので、竹虎という屋号になった歴史もありますが、真竹なども少しではありますが製造して取り扱いゆうがです。


虎竹の他には最近少なくなって、取り扱いのなくなった竹も含めると、黒竹、孟宗竹、女竹(めだけ)、図面竹、煤竹、亀甲竹、布袋竹、スズ竹...色々あるようですが、竹は国内でも600種類を越えるほど多様な植物。実は、これでもほんの一部ながです。そうぜよ、関心のある方は、よかったら「竹の世界」言う、竹の事が分かる簡単なページをご用意しちょりますので、是非一度ご覧いただけたら嬉しいがです。


湯抜き釜


竹虎の湯抜き作業は工場の外の専用釜でやりよります。長い真竹をそのまま、お湯に浸けますので、長い筒状の釜ですが寒い季節の事です湯気が立ち上り、煙突から煙りがたなびきます。小さい頃から見慣れた仕事。沢山積み上げられた青竹、竹を拭きあげるウエス(汚れを拭き取る布)ズラリと並べられ天日干しされる美しい白色に変わった竹。


虎竹の里の夕日


ずっと、当たり前の光景やと思うてきました。他の所に行っても、どこでも同じような工場があるがやろう...。けんど、どうやら違うようです。この虎竹の里で続けてきた仕事は、他の地域では、もうあんまり見る事も出来なくなりつつある竹の生業。どう守り、どう続けていくのか、夕日の沈む向こうにみえる虎竹の古里、焼坂の山の大きさに小さい、小さい自分を感じちょります。


店舗用の竹

店舗用竹


虎竹や黒竹を店舗用に使われる事も結構多いがです。細い竹をそのまま使ったり、太い竹でも半割にして腰張りのような使い方は昔からありましたが、最近では、より空間に使うと言うか、竹の存在感をより全面に出された使い方が多いように思うがです。壁に使ったり、天井に使ったり、まっことお店様によって様々ですけんど、天井の高い店内に竹をそのまま立てて、まるで竹林のようにあしらうお店様も拝見させて頂いた事がありますぞね。


そう言えば、竹をそのまま使うた訳ではなかったですが、いつやったか遠く東北の、とあるテーマパーク内のお蕎麦屋さんで大きな大きなメニュー看板が日本唯一の虎竹で作られていたのを偶然に見つけた時には、こじゃんと感激したがです。


竹をちっくとあしらうだけで、また、お店の見え方も全く違うものになって、モダンな感じになったり、お洒落な感じになったりしますちや。こちらのお店様もたまたま通りかがって、面白い竹の使い方をされちゅうのにビックリしましたけんど、外壁と外との間に、こうやって竹をあしらうだけで何とも心地よい、風通しのエイ通路ができています。


外で雨ざらしにして使いますと、竹を丸竹のまま使う場合は割れたり、竹の色あせもありますけんど、こうやって枯れた雰囲気になるがも竹の楽しみのひとつ。人工的に色をつけたり、耐久性をあげる塗料もありますけんど、自分は、あんまり好きではないがです。古くなり落ち着いた色目になって、また竹の違う魅力と出会う事ができるがではないですろうか?竹は庭園にも多用されてきましたけんど、先人たちも、こうやって時間と共に移ろう美しさに思いをはせたに違いないと思うがです。


節付き竹カレースプーン

節付き竹スプーン


竹は成長が早く、真っ直ぐな素材であったり、中が空洞であり、しなりがあるなど実に様々な竹特有の性質があるがです。木でも草でもない...と何かで読んだ事もありますけんど、竹は竹であり、竹にしかできない素晴らしい役割があるがですろう。虎竹林の見学に来られる方に、よくお聞きましすが、竹の事はもちろん知っているし、竹林を眺めることはあるけれど実際に意識して見たり、触ったりされた方はあまりおられません。


けんど、そんな多くの方にとっても、竹の節というのは竹の外見上の一番の特徴ではないかと思うがです。極上竹カレースプーンは、いろいろある竹のスプーンの中でも竹を厳選し、熟練の技で製造された群を抜く一本ながです。


「極上」の文字に偽りなしですけんど、この竹カレースプーンに節を残して加工した試作をしてみましたぞね。自分たちからしたら竹の繊維の流れや質感で、木や他の自然素材のスプーンとはまったく違うというのが一目瞭然ながですが。もしかしたら一般の方のなかには、節があって初めて竹という素材を強く認識していただけるかも知れません。また、竹節がちょうど格好のエイ、アクセントにもなってから、思うたより数段素晴らしい出来映えとなった気がしよります。お客様の声を参考にさせていただきましたけんど、まっこと自分たちだけでは考え付かないことにもチャレンジする事を忘れたらイカンがです。


江戸前鮨の職人さん その2

虎竹林


けんど、まっこと、たまたまそのお店に行く事になるとは、本当にご縁ぜよ。入ってカウンターに立つ、その職人さんは一目みて、ああ、あの時の修行されよった若い板前さんやと分かったがです。


こんな大都会に来て、お鮨屋さんに行くことなど、ほとんどと言うてエイくらい無いのですが、まっこと偶然というか、しかし、時間の経つの早いですちや、あれから8年です。ついこの間の事やったような気がするのに、不思議な気持ちと、清潔感のある白木のカウンターの慣れない雰囲気で、こじゃんと緊張してしもうてお鮨の味も、最初の頃はあんまり分からんほどやったがです。


さて、時間が経って、ちっくと落ち着いて店内を見回すゆとりもできましたぞね。そしたら、あれっ!?目がとまります。すっかりご主人さんの貫禄になられた若い職人さんの後ろに虎竹...?違い棚の柱に、なんと虎竹が使われちゅうではないですか!?


ええっ!?またこんな所で...!


いやいや、おまんはワシより先に来ちょったかよ。まっこと言うてくれたらエイのに...偶然にも、修行中やったあの時の職人さんに再会した店で、こんどは、またまた偶然にも古里の竹...?


馴染みのない土地で、しかもこんな素晴らしいお店で思いがけずに同郷の知り合いと出会うたような安心感と嬉しさ。ああ、こんな遠くまで来たけんど、こりゃあ偶然に来た訳ではないかも知れんにゃあ。江戸前の魚と一緒にそんな心温まる一時を味わわせてもらいましたぞね。これも日本唯一の虎竹たちのお陰ながです。まっこと、ありがとう!!!


江戸前鮨の若い職人さん その1

安和海岸


高知は魚が新鮮でこじゃんと美味しい土地柄です。鰹のタタキなどは特に有名で、県外からお越しになられた皆様はその美味しさに、まっことビックリされるがです。


まあ、けんど高知など海に近いところは魚も素材そのものが勝負という気がしちょりますが、東京などにあります江戸前鮨というのは、魚そのものの新鮮さなどは、もちろんですけんど、鮨職人の手仕事が素晴らしいと言うように聞いちょります。高級なお店とは、まったくご縁がないですけんど、職人芸で美味しいものを生みだすという事は自分たちの竹の仕事とも、ちっくと似たところもある気がするがです。


実は随分と前の事になりますけんど、知人の方が懇意にされちゅうという、ある有名なお鮨屋さんに連れていってもろうた事がありました。お鮨の素晴らしいこと、美味しいことは田舎者の自分からしたら、まっこと腰を抜かしそうでしたけんど、その時、こじゃんと印象に残った若い板前さんがおったのです。その方は、鋭い眼光で店主の手元やしぐさをいっつも見ているような気がしよりました。


職人の手仕事は教わるのではない、目で見て盗むものだ。そんな事を昔から良く言われます。竹細工の職人さんでも、熱心の方は見習いの時から全く違います。師匠の手から目を離さんものながです。その時、何か同じようなものを感じちょりました。あれから8年くらいですろうか?月日が流れるのは早いものですが、そんなある日、あの有名店を独立された若い職人さんがおられる...どこからともなく聞いて、ふと、あの時の若い職人さんを思いだしたがです。


もしかして、あの時の板前さんやろうか?けんど、まさか...確かにお店は大きくはなかったけんど、あれだけのお店やったら若い職人さんも沢山いるやろうし、まあ、行く機会もありませんきに、あまり気にもとめずにおったがです。


(つづく)


和傘と竹林

和傘


若い頃には母のお下がりの和傘をずっと使いよりました。穴が開いてボロボロになっても、妙に愛着がわいて、かえって古くなったのが格好もエイ気がして、とうとう傘をさしても雨に濡れてしまう...(笑)そんなまで使った後も、なかなか捨てられず玄関にずっと置いちょったのを覚えているのです。


もちろん、折り畳めたり、軽量だったり、乾きが早かったりする、今の洋傘と比べると使い勝手という点では勝っているとは言い難い和傘ですけんど、竹虎の歴史を振り返ると、大阪で119年前に創業した当時は、この和傘の骨の材料の竹材を扱っていたという事を祖父から聞かされちょりましたので、和傘には、少なからず思いいれもあるがですぞね。


よく日本の家は「木と紙で出来ている」と言われますけんど、和傘は「竹と紙で出来ている」そう言うてもエイと思います。先日、傘職人さんから一本の和傘が届いたがです。さっそく広げてみて拝見しました。和傘にも色々種類があるようですが、こりゃあ、まっこと素晴らしい出来映えです。この和傘の伝統の技も、だんだんと職人さんが少なくなり、これから伝承し残していくためには新しい試みが必要になってくるのかも知れません。


ところで竹を多用した和傘ですが、素材が竹で出来ちゅうと言うことだけでなくて竹林整備にも和傘が深く関わっています。いやいや、関わっている、という言い方は、ちっくと可笑しいかも知れませんが、竹林の竹を伐採して整備する場合に、竹と竹との間隔がどれくらいが適正かと問われた時、和傘を差して歩けるくらい竹同士の間隔を開けることが必要だと言われちょります。そうすると陽が入り、風が通り美しい竹林となるがです。そう思うて周りの竹林を眺めてみたら、まっこと日本の竹は伐採されなくなってちっくと詰みすぎちゅうと言うのが良く分かりますろう。


竹屋の手かぎ

山出し


虎竹の里での山だしは今日も続きよります。焼坂の曲がりくねった山道に車で登っていきますと、道路脇のアチラコチラに伐採され運ばれてきた虎竹が待ちかねたように、うずたかく積み上げらちょります。その竹をトラックに積み込み、山のふもとにある土場や田んぼまで運んでいって、一本づつ色づきや太さ別に選別作業をするのです。この時期にしか竹は伐採せず、これからの一年間、この竹材料で製造していきますので、毎年の事ですけんど、まっこと大事な作業ながです。


山道での竹の積み込み一つにしても実は色々とコツがありますぞね。虎竹には長いもの、短いもの、太いもの細いものまで山から伐り出してきたばかりなので、色々と混ざって置かれている事が多いのです。長尺の竹をトラックで運びますので、安定させるために、まず短い竹を積み荷の一番下になるように、そして、一束づつ真っ直ぐに平らに並ぶように積み込んでいきます。


手かぎ


こんな竹の積み込みに無くてはならない、大活躍するの道具のひとつが「手かぎ」。普通は、あまり目にされる事はないかと思いますが、たまに魚市場がテレビに映ったりしたときに、セリに参加される方や働く方がそれぞれ手にしているのをご覧になられた事はないですろうか?木製の持ち手の先端に、金属製の引っかけを取り付けた大きなマグロなどを引っかけて運んで行く、そう、アレです。


もちろん、竹虎では魚を運ぶのでは無くて、竹用に使いますぞね。荷台の上にいる社員のひとりが手にしているのが分かりますろうか?トラックの下から勢いよく放り上げる重たい竹の束を手かぎの先に引っかけて引き上げたり、荷台に一束づつ真っ直ぐに並ぶように詰めたり、竹の山出しには手かぎは欠かす事のできない商売道具ながです。不思議なもので現場にしばらく出ていなくても、手かぎを手にしたらキリリッと竹モードにスイッチが入る気がします。まっこと面白いものですちや。


素朴なテミ

手箕


テミはご存じですろうか?漢字で書きますと「手箕(てみ)」。箕とも言われて穀物の選別など広く農作業用として、昔から使われてきた竹製品の一つながです。中に入れた穀物を振るうので持ち手が付いちょります。ご覧になられた事は皆様あるかと思いますが、なかなか実際に使うた経験のある方は多くないと思うがです


自分の小さい頃には職人さんが働く作業場に行っても、農家の友人宅に行っても普通にテミがあって、大人たちが物を運ぶ時など雑用には重宝していたのを覚えちょりますし、中学時代の野球のグランド整備にも、このテミで石を集めた事を懐かしく思いだすがです。昔からずっと力仕事で愛用されてきた道具だけあって、このテミというのは良く出来ちょりますぞね。両手で持ち手部分をグッと持って平たく成った部分をお腹に当てると、重たいものでもかなり楽に運ぶことが出来るがです。


まっこと、自分たちの作業用としても無いと困るようなスグレモノでしたけんど、竹だったものが、いつの間にか青い色をしたプラスチック製に変わり、そう言うたら高校卒業する事には竹製のものは無くなっちょったかも知れませんちや。プラスチック製のものは耐久性があり水にも強いですが、竹製のものは、しなりがあって使いやすかったように思いますぞね


まあ、そんな竹製の手箕ですが、もちろん使う事を目的とした作業用の道具ですきに、普通にあったものは、出来映えも普通のものでしたが、同じテミでも名人と呼ばれる職人作となると、こんなに素朴でいながら何とも味があって、格好のエイ一つの作品のようなものがありますちや。


決して細部まで丁寧に作り込むという事ではないがですが、無骨さと繊細さとが微妙にマッチして、そのままインテリアにもできそうなテミ。こんな伝統の技が継承されて来た日本の竹細工がこれからも続いていけるように、自分たちには何ができるがですうろか?ずっと見つめよったらテミが竹職人の顔に見えてくるぞね。


名人作虎竹耳かきの時間

虎竹耳かき


日本唯一の虎竹を使うた人気商品のひとつに耳かきがありますぞね。そうながです、虎竹箸ばかりでなく、こんな、こだわりの逸品もありますきに、是非ご覧いただきたいがですけんど、虎竹は淡竹(はちく)の仲間の竹ですので、周りのサイズや大きさは真竹と、そんなに変わらないのですが、身の厚みが比較的に薄いという特徴があります。


この名人作虎竹耳かきのエイところの一つは、しっかりと持ちやすく使いやすい持ち手の太さです。名人と言うだけあって手際も素晴らしく、竹を手にしたらキリリッとした表情になる耳かき職人さんは、実は、虎竹の素材自体も、こじゃんと(とても)厳選し、一本一本大切に製作してくれよります。


竹は竹ならではの独特のしなりがあって、台風のような強風に煽られても、重たい雪に積もられても、ググッと腰を曲げながら耐え抜く強靱な粘りがあるがです。それでいて自然素材ならではの温もり、優しい耳あたりもある、まっこと耳かきの材料としては申し分ないがちや。


都会に来たら沢山の人が道を急いで行き交いよります。同じ日本やのに時差でもあるがやろうか?時計のスピードも早く、うっかりしよったら置いていかれそうぜよ。何やら、そんな目まぐるしい街に暮らす方にこそ、ほんの数分でもエイですきに清々しい竹林に心を向けて名人作虎竹耳かきを片手にちっくとリラックスする時間があったらどうですろうか?こんな細い、小さな竹一本で、曇り空やった気分が晴れ晴れとする事もありますろう。


美しい青竹の別注背負い籠

背負いかご


長いものをいれて背負われるとの事で、竹籠の深さを、かなり深めにした別注の背負い籠のご注文が来ましたぞね。けんど、やっぱり図面でみるだけでは分かりませんちや。実際にこうやって編み上がってから、そして、背中に背負うてみてから始めて感じる事があるがです。この竹籠は、高さが出て使い勝手が良さそうぞね。お届けした先のお客様の笑顔が思い浮かぶ出来映えに、思わず自分の方も嬉しゅうになっきますぞね。


竹籠も色々とありますが今回のような籠なら、編み方や形などは同じでサイズだけ変更するというものについては比較的容易にできますけんど、形や大きさによっては竹で編むことができないものや、こじゃんと難しいものがあります。


以前、随分昔から使われてきた竹籠が古くなって、同じものをというご要望を頂いた事があるがです。お客様自ら竹かごをお持ちいただきましたけんど、古い竹籠は当時の名人と呼ばれるような、ビックリするほどの素晴らしい出来映えの竹籠でした。


竹製品が生活の道具として活躍しよった時代には、毎日同じ竹編みをずっと何十年も続けられて、まさに逸品と、うなってしまうような凄い竹細工を生みだす職人さんがおられたがです。しかし、いちど途絶えた技というのは、なかなか元に戻りません。残念ながら今では同じ籠ができない事もありますぞね


昨年、竹籠の名人と言われる方の仕事を拝見する機会がありました。一堂にならべられた竹からヒシヒシと伝わったきたのは、プロとしての誇り、竹で生きていく懸命さと覚悟のようなものやったです。このような気概を持つことも、もしかしらた今、必要とされちゅうかも知れませんぞね。


用事になる竹楊枝

竹楊枝


皆さんは楊枝はご使用されよりますろうか?若い時には、一体何で使うのだろう...?そんな風にまで思いよりました。いえいえ、今でも若いですけんど、最近は、楊枝の存在理由が少しづつ分かってきてたがです。そこで、実際楊枝を使うようになりますと、ちっくと洒落のようですが、これが「楊枝」なのに、ひとつも「用事」にならがです。だいたい市販されよります楊枝は木製ですが、少し柔らかすぎて、スグに先端が曲がったり、折れたりして、うまく歯の間をほじる事ができなかったりします。


そこで、やっぱり竹の登場ぜよ。竹は元々繊維がつよく強靱ですけんど、竹楊枝は、そんな竹の中でも表皮に近い、さらに繊維が詰んで一番強い部分で作られちょりますので、とにかく、比べたら一発で納得ながぞね。先端を叩いてみても、折り曲げてみても、通常の楊枝とは全く比べものにはならない圧倒的な強さ。なので先端は細く細く削られちゅうですけんど、使うても、使うても先は細いまま、思う存分に使うことができるがです。この道数十年の竹職人が「日本一だね。」そんな風に胸をはる、自信にあふれる表情もよく分かります。これこそ、まっこと小さな巨人ちや。


「竹に注意」虎竹の里の山道

虎竹山だし


「クマに注意」こんな立て札なら分かりますけんど、「竹に注意」...!山道で、こんな風に書かれた立て札を見たら、ご存じない方は、一体何の事だろう?不思議に思われるかも知れません。


虎竹の古里、焼坂の山道などを通ると、道路より上の竹林からは伐採された虎竹が斜面をゆっくりと、滑るようにして山だしされゆうがです。「竹に注意」の立て札は、そんな竹が勢いあまって道に飛び出す事もあるので、通行する方に注意を促しゆうと言う訳なのです。


山の職人さんが竹を伐る場合、ナタを使う職人さんと、鋸を使う職人さんがおられるがです。鋸の場合は切り口が平らになっちょりますが、ナタの場合やったら鋭角に、まるで竹槍のようになっていますので、道の上で竹を伐る音がしていたら自分などでも注意して通ようにしちゅうがです。


昔なら竹は筍を掘る、建材にする、身近な生活用具にする、農作業用に使う、玩具にする、そして竹細工を編むなど、衣食住の様々なシーンに活躍していた大切な山の恵みでしたが、今の日本では竹林は、もちろん遠くからは見るけれど、竹林に入った事もない、生えている竹に触れた事もない若い世代になればなるほど、そんな方も増えている時代ながです。大量の竹が伐り出される山出しをしていたら、ええっ!?何ごと?......事件か?真剣にそう思われるかも知れませんちや。まあ、虎竹の山の職人さん以外では、そんなに通行する事もない未舗装の山道です。


けんど、昔の遍路道をわざわざ歩かれている、遠くから来られたお遍路の方などが道一杯に竹が滑り落ちて来ている光景をご覧になられたら、さぞ、驚かれるのではないろうか?


「この山は不思議なところだねえ」


峠の山道で出会うたお遍路さんが、山頂から向こうの山々に竹が急になくなるのを見ながら話した言葉を今でもハッキリと覚えちゅうがです。


竹の表札を手にして思う

竹の表札


竹はご存じのように中が空洞になっちょります。身の部分が薄いですので木材のように厚みのある製品ができません。そこで、集成材と言う技術があるがです。これは、薄い竹材を貼り合わせて大きな角材のような素材にする加工方法で、この竹素材を一枚板のように切り出し、フローリング材、壁材などの建築材をはじめとして大きなダイニングテーブルのようなインテリア家具まで、色々な竹製品に製造できる可能性が広がっちゅうがです。


竹集成材工場では割竹を風通しのよい竹置き場で十分乾燥させてから、大きな専用窯で圧力と高温をかけて炭化加工させよります。炭化させる事によりカビ止めや防虫効果を高めてから、大型の集成材加工用機械で次々と製造しよりました。


それにしても炭化用専用窯にしても集成材製造機械にしても、およそ今までの竹材店とは違う大がかりな施設がありますちや。竹は画一化する事が難しく、どちらかと言うと工業化とは遠い存在ですが、ここの竹工場は工業化という言葉が似合う雰囲気ですぞね。


さて、暮れの大掃除の時に古い段ボール箱から出てきた試作品の表札があります。実はこれも下地が竹集成材で出来ちょります。それにしたち、お洒落でセンスがエイですちや。こんな表札やったら家の格も、ちっくと上がる言うもんです。竹集成材はタテに色目が付いてハッキリと違うので、一枚一枚幅の薄い竹材を貼り合わせているのが分かるかと思います。竹特有の繊維の流れも木材等とは違うて独特ですし、所々竹の節の部分が面白い模様になっちゅうがです。


いつも言う事ですけんど、竹は不思議な力を秘めていて、こじゃんと(とても)成長が早いがです。一日に1メートル20センチも伸びる事がありますので、筍の生えだした竹林は、しばらく見なかったからその風景が変わったように感じるくらいですぞね。


だから、木材との大きな違いは、たった数年で製品利用できること、そして、地下茎で自然にドンドン増える事ぞね。継続利用可能な唯一の天然資源と言われる竹を、こんな形にして新しい活用方法を模索していくことは、これからの将来に向けて必要不可欠ですろう。竹の明日はどんなになっちゅうろうか?思い付きもしないような未来かも知れませんけんど、人に必要とされ続けゆう事だけは確かな事やと思うがです。


森林国の手提げ籠

山ぶどう手提げ籠


竹手提げ籠でしたら、今、ざっと見回すだけでも使いゆう竹籠、使っていない竹籠あわせて20個くらいはありますろうか?いやいや、キチンと数えてみたら30個くらいはありそうですちや。もちろん竹手提げ籠は大好きでもありますので、個人的に出かける時や、仕事でも使ったりしますし、色々な試作もする一番身近なものですので当然と言えば当然ながですが。


竹の手提げ籠だけではなくて他の自然素材からも、たとえば、山ブドウ、アケビ、つづら、マタタビ、イタヤ...ちょっと聞き慣れないような、こんな山の素材からも、まっこと(本当に)素晴らしいカゴが編まれちゅうがです。もし、お持ちの方がおられましたら、ご存じのとおりですが、それぞれ持ち味、野趣あふれちゅう雰囲気の違いを、その日の気分によって楽しまれゆうのではないですろうか。


そんな中、丈夫さと経年変色で抜群なのは、やっぱり山ブドウではないかと思います。近年、良質な材料の希少価値と職人さんのご高齢で、お値段も少し上がり気味になっちょりますが、元々はお手頃で、丈夫な実用品としての手提げ籠やったです。もう数十年前の話しですが、竹籠と変わらない価格だった頃は母なども山ぶどうは愛用していて、ひとつ譲ってもらったセカンドバックタイプのものがあります。自分が使い始めてからでも、すでに20数年経ちましたけんど、傷む事もなく、ますますツヤが増し風格が備わってきちょります。


いつだったか、骨董品屋さんの片隅で見つけた古い山ブドウのカゴ。持ち手もなく、一部のツルが傷んでいましたのでそのまま持つ事はできなかったものを、職人さんにお願いして数カ所修理していただき、持ち手を新しく付けてもらって使いよりますが、これも堅牢そのもの。カゴの中にギッシリと石を詰めて持ったとしても恐らくビクともしないのではないですろうか?一体何年前に作られたものかは分かりませんけんど、ちょっと歪んだ形や風合いなどから実際に仕事を毎日ガンガンしていた籠の力強さを感じるがです。


実は日本は森林面積が広く、森林率は先進国の中では北欧のフィンランドなど次いでなんと世界第3位という森林国ながです。竹細工だけではなくて、このような山の幸とも言える素朴な籠ひとつからでもこの国の自然の豊かさ、職人の手の凄さ、先人の知恵をつくづく感じる事ができるがです。


シンガーソングライダー左嵜啓史さん来社!

シンガーソングライダー左嵜啓史さん


シンガーソングライダーぜよ。シンガーソングライターではないがぞね、シンガーソングライダー。唄うバイク乗りと言うことですろうか。左嵜啓史さんが大型バイクにギターを載せ南国土佐にやってこられましたちや。南国と言うたち近日の寒さです。単車の風は想像以上に冷たいようで、ヒーター付きのベスト、ブーツにはホッカイロという完全装備ちや。


そんな冷え切った身体と、かじかんだ指先ですけんど、日本唯一の虎竹の里に熱い思いで唄を届けたいとギターを弾きはじめます。こじゃんと男前の顔立ちと、ハートをくすぐるような歌声に、思わずファンになってCDにサインをしてもらう姿を見よりますと、音楽というのは地域も年代も性別も一瞬で飛び越える力があると感じるがです。


竹虎工場にて左嵜さん熱唱


東京を出発されて100日間で1万人に声を届けようと、ずっと、唄いながら走り続けて来られた左嵜さんの旅も、あと残すところ10日足らずで終わるとの事やったです。


「竹の中で唄うとパワーをもらえそうやなぁ」


本社の外で唄っいよった左嵜さんが引き寄せられるように工場の中へ。ああなるほど、ミュージシャンの方が会社に来られて演奏など今まであまり無かった事なので考えた事もないですが、竹林で音楽と言うのも面白いにゃあ。そこで、せっかくでもあるし日本唯一虎竹の竹林をご覧いただきたくなって山にお連れしたがです。


左嵜さん竹林にて


ちょうど今は虎竹の伐採シーズンぞね。普段やったら見る事のできない山だしされた竹もあったし、天気も良くて、まっこと良いタイミングでした。けんど、竹林に入って、竹を触って、空気を何度も何度も吸い込んで、こじゃんと喜んでくれた左嵜さんに、自分もこじゃんと感激したがちや。シンガーソングライダーは心に入ったことを、今度は唄にして外に出すお仕事ですろう。今日の竹林が、いつの日かギターの音にのって飛び出して来るがを楽しみにお待ちしちょうこと思うがです。


こだわりの2本の紐、虎竹座敷箒

虎竹座敷箒


虎竹座敷箒は箒草からこだわった、昔ながらの純国産の箒を復刻させたものながです。だから、それに使う柄竹は座敷箒生産が全盛だった当時から、ずっと定番と言われて使われてきた日本唯一の虎竹。そして、箒草をしっかりと縛り止める2種類の紐は、天然藍染めと、虎竹染め、それぞれこの箒用に特別に染めちょります。


藍染めは言わずとしれたジャパンブルー。こんな美しい青さはないと思うのですが、高知県のお隣、徳島県は吉野川下流に藍住町という、まさに地名から藍の本場があって、そこで代々19代にも渡り藍生産を営む佐藤家があるがです。ここの農家さんとも不思議な縁があって、いつやったか、普段聞かないラジオ番組をたまたま付けると佐藤家当主の佐藤さんが出演されちょりました。藍の生産の事、苦労話等がバツグンに面白く聞き入ったのですが、偶然訪れた藍生産農家さんが、この時のラジオの声の主やったです。色素の質が違うと言われて、かたくなに白花小上粉(シロバナコジョウコ)にこだわり藍染めの元となるスクモを生産されよります。


竹皮草履天然藍染めに使用しちょります藍染めも、今回の虎竹座敷箒に使われる藍染め紐も、ここのスクモを天然灰汁発酵建てで染め上げる熟練の染め職人さんにお願いしたものながぞね。染め上がってきた藍染め紐は、それはそれは美しかったぜよ。まっこと藍の色というのは魅せられるがです。


そして、人呼んで「タケトラゴールド」の虎竹染めは、優しい色合いが特徴です。虎竹の伐採時期には少し早かったので、この紐を染めるためだけに、わざわざ伐採して生々しい竹葉をあつめ、地元高知在住の染色作家さんに染め上げてもらったがです。


虎竹染めハンカチや、手ぬぐい等、実は今まで虎竹葉を使うた染め物は何度かチャレンジしちょりますので、今回の虎竹染め紐も絶対に素晴らしい物になると確信しちょりました。けんど、予想を裏切って想像以上の染め上がり具合に、まっこと、虎竹座敷箒の出来上がりが待ち遠しかったがですちや。全てに最高のこだわりと思いを込めた箒です。たかが、箒ながですけんど、こうやって、それぞれ一つ、一つの素材に自分たちならではの特別な心意気が込められた一本になっちょります。


竹林の願い

竹炭


竹炭のご飯いうたらビックリしますろう?そりゃあ、そうですちや。ええっ!?あの真っ黒い物を、白いご飯にどうするがでえ?多くの方がそんな風に思われるに違いないがです。


お正月は終わりましたけんど、お節料理に飽きた、ある日人様によりけり。ふと、食べたくなるものがあるかと思いますが、自分の場合は「白いご飯」。ご飯の他は漬け物でも、何でもエイがです。とにかくお米が食べたくなりますぞね。それが、先日に食べたご飯は美味しかった。それなりに良いお米で、ご飯を炊く水もエイらしいけんど、決めては竹炭やった。竹炭は昔ながらの土窯で高温で焼いた竹炭を使うちょります。飲料水用にも使う竹炭ですけんど、なぜ竹炭を使うとご飯が美味しくなるがですろうか?


それは一言でいうたら、ご飯に含まれる水分量ですぞね。なんと竹炭入れて炊くと約17%も水分が増えちゅう言われます。ふっくら炊きあがるだけでなく数十種類のミネラル成分もとけ込むし、炊きたては、もちろん美味しい事この上ないですが、意外に美味しいのが、冷やご飯。ご飯は冷えた時に差がつくような気がしよりますが、ご飯が冷えたら冷えたでムッチリとして、これまた美味しい冷やご飯を食する事ができるがです。竹炭の炊飯や飲料水への利用は、某有名酒造メーカーさんがウィスキーやビールに使用する水の濾過に竹炭を使うている事もひとつの契機となって、一般の方にも広く知っていただけるようになっちょります。


炭と言えば備長炭等がまず名前があがりよりましたが、最近では炭と言うたら竹炭になってきたように思います。これは、いつもお話させて頂きますが竹炭の性能が高いという事もさる事ながら、その成長力の早さ、地下茎で毎年生えてくる生命力から身近に活用できる資源として無尽蔵と言うても過言でないくらい、豊富に竹林があるという事ながです。「継続利用可能な唯一の天然資源」とも言われますが、竹は人の役に立ちたい、立ちたいと竹林で願いゆうような気がします。虎斑竹専門店 竹虎では、そんな竹の事、竹炭の事も、これからもコツコツとお伝えしていきたいと思うちゅうがです。


2013年!新春動画再生500回突破感謝

竹虎四代目


竹虎では、すっかり恒例となったがですが、新春の挨拶動画。挨拶かどうか疑問の声も上がりよりますが(笑)そこは押し切って年始挨拶と言いきっているのです。年賀状とリンクさせた形で動画を撮らせて頂いてますが、2013年は巳年。蛇は実は縁起が良い動物だそうですし、脱皮をして大きくなるというのは古い自分から脱却して変わることを決意するにはバッチリの干支と言えるのではないですろうか?


最後に生き残るのは強い者でも、頭の良い者でもない。常に変わり続けた者だけだ。そんな事を尊敬する諸先輩方からお聞きしちょります。今年も変わり続けたいと強く決意している竹虎です。そんな思いで今年は大きな大きな紙を用意させてもろうて、大筆で「脱皮」の文字を書かせてもらいました。昨年2012年新春動画では社員が総出で踊ったものですきに。


今年は一体どんな事をしなければならいなのかっ!?ダンススクールにでも通うかっ!?ああ、身体が痛い...。などなど、年末が近づくにつれ竹虎の社員一同は戦々恐々としよったそうですが、意外とアッサリ。最後にチョコッと写って終わってしもうて社員の表情みたら何か物足りなさそうな...そんな印象を受けたけんど、それは、自分の気のせいだけかも知れません。まあ、そうやって撮影して完成した新春動画が、この元日からの短い期間に500回も再生していただけるとは、こじゃんと嬉しい事ながです。


昨年の独眼竜正宗の新春動画は、お陰様で現在3235回ぞね。動画というのは意外とご覧いただくのは難しいものです。2分間ものお時間を皆様から頂くのですから、まっこと(本当に)大変ながですが、本当に全国の竹虎を応援いただく皆様には感謝です。ありがとうございます!昨年の動画再生回数に追いつくのには、まだまだ何ヶ月も、もしかしたら一年、いやいやもっとか?時間はかかるかと思いますけんど、この数字を一つの目標として頑張っていくがです。改めまして2013年も何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございます!



炎のトンネル

ガスバーナー


竹を伐採する季節は毎年この寒い時期だけながです。虎竹の伐採シーズンもいよいよ終盤に差しかかっちょりますが、集められ、選別させた虎竹が例外なく全て必ず通る炎のトンネルがこれながです。竹の油抜きをする行程のガスバーナー。この熱により虎竹に含まれる油分が竹から染み出し、虎模様をクッキリと浮かび上がらせてくれるのです。ガスバーナーに竹を差し入れるタイミングも重要ぞね。竹の性質により火に当てる時間なども微妙に調節しながら、焦がさないよう、美しい虎竹に変身するよう、職人が一本、一本、丁寧に拭き上げていきますちや。


虎竹拭きあげ


ガスバーナーから出てきた虎竹は想像以上の熱さながです。切り口からは竹の油分がジュジューーーーーと噴き出します。湯気がモワァ~と立ち上り、甘い香りが広がるがぜよ。甘い香り?あ、そうです、そうです。竹は糖質の、こじゃんと(とても)多い植物ですきに、油抜きをすると甘くて、自分たちにとっては小さい頃から馴染みのある昔を懐かしゅうに思い出す大好きな香りが漂うがです。


竹虎も今日から本格的に仕事始めぞね。こうやって、「よそ行き」の綺麗な化粧をした虎竹たちが竹虎で竹製品として、あるいは竹材として、全国のアチコチの竹材メーカーさん、竹職人さんに運ばれていって、色々な竹細工に加工されたり、最近特に多くなっちょります店舗室内装飾に使うて頂いたりしてさらに沢山の皆さんにご楽しんで頂ける事が、2013年も、まっこと一番嬉しい事であり、目標ながです。


10年前の「焼坂への道」

虎竹の里


虎竹の古里である焼坂の山は標高228メートル。山頂近くまで登ると虎竹の里が一望できて景色がエイがです。この山道を通っていて今日はふと思い出した事があって、車を停めたがです。この道は未舗装の山道。普通車でもすれ違いもできないような細い道ですけんど、他に通る車もありませんので大丈夫。


虎竹の古里


エンジンをきってドアを開け外に出てみましたぞね。普段通る時にはあまり気にならないのに、特別今日、思い出したのは、あまりにあの日と似ちょったきかも知れません。ああ、懐かしい、そうそう、ちょうど今頃やった。竹の伐採時期で冬なのに暖かい一日やった。日差しの感じもちょうどこんな感じやった。もう10数年前になるあの日。ここに虎竹縁台を持ってきて、わざわざ須崎の町から和菓子まで買うてきて竹で作ったコップでコーヒーを入れて頂いたがです。


そうじゃあ、そうじゃあ。あの時は日頃お世話になっちゃある山の紹介という事で、タキシードでビシッ!と決めたかったけんど、持っちょりませんので、とりあえず蝶ネクタイと黒いスーツで来たがです。こんな格好で腰にはナタをさげて、ちくと、映画007の見過ぎかも知れませんけんど、虎竹の古里を紹介させていただく「焼坂への道」を見直しても10数年前と今と何ちゃあ、ひとつも変わっていないがです。


毎年、毎年、同じ事を繰り返す事のできる幸せ。今年で竹虎は創業119年になりましたが、継承できてきた事への感謝、後に続けていける事への感謝。今年も絶対に忘れたらイカン事やと思うちょります。


青竹踏みと、竹踏み(炭化竹)

青竹踏み


青竹踏みは、皆様ご存じやと思うがです。昔から自分の家や近所などでも、普通に一家に一台という感じでありましたので、正直、青竹踏みを知らない世代がおられるとはあまり考えもしなかった事ながです。毎年、夏に開催させていただいちょりますインターンシップや、当社に見学も兼ねてお越しいただく若い学生の皆様に、最初は、ちっくと軽い冗談のつもりで質問させて頂きよりました。


「この半割の竹は何か知っちょりますろうか?」


当然、ご存じかと思うて聞いたのですが、あまり反応がよろしくないので、ええっ!?本当に知らないのだろうか...?


「すみません、青竹踏みをご存じない方はっ!?」


まさかと思って訪ねてみましたら、何と半分以上の方が知らなかったりするがです。こんな身近な竹製品も忘れられようとしちゅうがやろうか?だとしたら、これは、まっこと大変ぞね。ずっと日本で愛用されてきた、こんなお手軽な健康グッズが消える事はないにせよ、自分たちが出来る範囲で、この竹の良さを伝えていきたいにゃあ。青竹踏みには、こんな思いがあるのです。


竹踏み


けんど、青竹踏みは青々とした竹を切って加工して、そのままお客様のお手元に届く商品です。竹が水分を含んでいて重たい位、生しい物もあります。見た目には気持ちの良い色合いで、これが青竹踏みの名前の由来でもあり、一つのトレードマークです。が、しかし、その反面、乾燥していない生しい竹を使用しますので、今の季節はそうでもありませんが梅雨時や夏場などビニール袋に入れたままやったり、お届けした荷物を開けずにそのまま置いちょったりしますと、カビの原因となってしまう事があるがです。


そこで、この弱点を克服すべく登場したのが竹踏み(炭化竹)ながですぞね。炭化加工は熱の圧力で竹を蒸し焼き状態にしちょりますが、カビ予防や防虫効果などもありますきに。青竹踏みの、もうひとつの定番として今年は力を入れてご紹介していきたいと思うちゅうがです。


年末にお届けした別注袖垣

白竹玉袖垣


毎年、年末に向けては庭垣、袖垣などのご注文が多くなる時期ながです。ご注文頂きましたお客様にはこの新年、お庭もスッキリされて気持ちのよいお正月をゆっくりと過ごされゆうのではないかと思うちょります。ご注文が多くなると言いましたが、特に増えるのが特別注文の竹垣、袖垣や枝折り戸なのです。


お客様の好みに合わせて少しだけデザインを変えたり、サイズを変えるという事だけでも当然ですけんど一からの製造という事なりますので、国内製造をわずかながらも続けゆう竹虎の出番ながです。袖垣については特産の虎竹で作らせていただく事が多いものの、白竹も昔からの定番ですので根強い人気があります。


おっと、そう言うたら、そもそも袖垣をどう使うとか、どこに設置するものだとか、あまりご存じない方も多いかも知れませんちや。実は、袖垣は庭のちょっとした目隠しや間仕切りに使われる事が多いものなのですが、今回の白竹玉袖垣は全面が格子になっちゅうきに、目隠しの役目にならないのでは?そんな風に思われる方もおられるかも知れません。


けんど、こんな袖垣をたとえば少し置いたら、この垣に視線が集まってしっかり目隠しの役割を果たしますぞね。こんな大きなサイズの立派な袖垣が、高知から山を越え、瀬戸内の海を越えて、日本のどこかで、誰かの目を楽しませる事ができゆうがですろう。今年も、そうやってお役に立てる事を、


一つ、一つ、


一つ、一つ、やっていくがです。


変わるぜよ!2013年

2013元旦


明けましておめでとうございます!今年もお陰様で無事に年が明けましたぞね。こうして無事、平穏な2013年のはじまりを迎えられる事に、まっこと、まっこと感謝したいと思うちょります。ありがとうございます!


最後に生き残るものは、強い者でも、頭のよい者でもない。変わり続けた者だけだ。こんな言葉を尊敬する先輩からお聞きした事があるがです。今年は巳年、まさに蛇が脱皮するがごとく、例年にもまして更に古い皮を脱ぎ捨てて、変わり続ける一年にするがです。自分が変わり続ける言うことは、挑戦し続ける言うことではないですろうか?


もともと、こんな小さな田舎の竹屋ですきに、満足に何かが出来たと思うた事など今まで一度もないがです。ずっと挑戦者として挑み続けて来たと思うちょりますが、2013年は更にその意志を強くもって、竹のように真っ直ぐに、しなやかに、伸びやかに、一年中、青々とした葉を繁らせ、沢山の仲間とサラサラ...と笑いあうように、こんな竹のように生きていくだけぞね。