歳末を感じる青竹枝折り戸の枠

青竹枝折り戸枠


虎竹の里は、間口で言うたらたったの1.5キロくらいしかない谷間。その狭い谷間の山の際から頂上までは虎竹がありますが、峠の向こうには竹がないという、まっこと不思議でもあり、ちっくと神秘的と言えば神秘的な地域ながです。だから、ここにしか成育しないという噂を聞きつけて、遠く海外からメディアや日本の竹に魅せられたクラフトマンの方が度々やって来られるがですろう。


虎竹の虎模様は土中の細菌の作用によるもの等色々と言われますが、決め手は潮風だと話す山の職人さんもいれば、霜が降りる事が色づきの秘訣だと言う職人さんもおるがです。どれも確かな根拠がある事ではありませんが、「霜」と言う話しを聞いた時に、確かに近年の温暖化が虎模様の付き具合にあまり良い影響は与えていないにゃあ、そんな気はしよります。


さて、そんな虎竹ばっかりの虎竹の里のですきに、反対に他の所では一般的だったりする真竹がこじゃんと少ないがです。雑誌などで青々とした竹をご覧になられた事がありませんろうか?その青々とした竹が真竹ぞね。あっちの山、こっちの山、探し回って、ようやく青々とした真竹が少しだけ見つかります。伐りだした青竹で、製作させて頂いたのは枝折り戸の枠。この竹枠に、薄く剥いだ竹を棕櫚縄を使って編み込み、一枚の枝折り戸に仕上げていきます。新年を迎えるにあたって、庭の枝折り戸を青々として清々しいモノに取り替える方は随分と少なくなりましたものの、やっぱりおらるがです。


昔は、迎春準備と言えば何と言うても門松作りで、社員総出で竹を切り、松やウメ、南天、葉ボタンなど大忙しで飾り付けをした事。そして、飾りに使う松を山に取りにいったものの松食い虫で枯れて少なくなっちょって大騒ぎした事など、懐かしく思い出しますぞね。門松作りを止めてからは、歳末の竹というたらこの青竹くらいですけんど、季節を感じられてこの一年を思う事の出来る「竹」。そんな竹が一つでもあることは、まっこと幸せな事ですちや。


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