一閑張りの魅力

一閑張り行李


一閑張り(いっかんばり)は、ご存じですろうか?竹編みの上に和紙を貼って、その上に柿渋など塗料をぬり耐久性を高める日本に昔からある技法の一つながです。そもそも一閑張りは、暮らしの中の道具にあれこれありましたので、日本各地には職人さんもいて、製造もされよったと思いますが、今では本当に少なくなってから。自分の存じ上げる一閑張りの職人さんも数えるくらいながです。


その中のお一人とは、何度かデパートの催事などにもご一緒させていただいた事もありますが「農家の副業として雨降りなど外の仕事ができない閑な時にしていた細工やよ」そんな風に教えていただいちょりました。「閑」な時にしますので「一閑張り」。実は諸説ありますけんど、こんな風にも言われゆうがです。


一閑張り竹素地


この一閑張り行李は、竹編みの上に土佐和紙を貼り重ね。最後の仕上げに柿渋を使うちょります。幅を均等に割って、厚みも整えた竹ひごを丁寧にカッチリと角をたてて四角形に編み上げる技術は素晴らしいものながです。けんど、この竹編みが和紙で全部隠されちゅう...。


確かに竹が縁の下の力持ちのような、どちらかと言うと脇役のような形になっちょりますが、その実、行李表面の面白みのある豊かな表情。力竹が浮き上がった風格さえ感じさせる作りは竹編みあってこそ。土佐和紙と柿渋で隠されているかのように見える熟練竹職人の手業は、実は、反対に竹が主役と思えるほど美しく、力強く、この一閑張り行李の内側から光り輝いて主張しゆうがです。


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