ふらりと立ち寄った建物の一角に和紙漉きの施設があったがです。かなり広々とした部屋に大きな設備が構えられていますけんど、どうやら研修施設のようでしたので近くの方にお声をかけて、少し見学させて頂くことにしましたぞね。和紙漉きの区画には誰もいませんでしたので、一体何に使うか分からない機械が2つ、3つ並ぶその中に、おっと、これは渋い竹籠がひとつあったぜよ。
竹虎で扱いよります竹籠には、こんな編み方の籠はありませんので、近づいてよくよく拝見させていただくとどうやら和紙漉きの時に使いゆうとみえて編み込みの隙間に和紙の屑が引っかかっています。それほど古い物には見えませんでしたので、まだまだ、こんな幅広の竹ヒゴを使うてザックリとしちょますけんど丈夫で使いやすそうなこんな竹籠を編み込む職人さんがおるがやろうか?
それにしても現役で仕事をしている籠は頼もしいちや。折れて弾けちゅう竹ヒゴも、名誉の負傷やにゃあ。初めて会うたのに、ずっと昔から知り合いのようにも思えてくる竹籠に再会の約束をして、部屋をでましたぞね。振り返ったら窓明かりが竹籠につくる陰が、びっくと(少し)寂しげに見えよりよりました。
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