この虎竹の模様はどうですろうか?不思議な事に、たった1.5キロくらいの間口のこの細長い虎竹の里でしか成育しない竹ながです。他の土地に植え替えても、この虎模様が出なくて、世界的植物学者の牧野富太郎博士を記念して作られた高知市五台山にある牧野植物園にも移植しちょりますが、なかなか美しい虎竹にはなってないのです。
何ちゃあない、自分らあは生まれた時から竹には模様があるものやと、ずっと思いよりました。けんど、同じ四角いランチボックスを作るとしても、なるほど...白竹で作るのと虎竹で作るのとでは出来映えが全然違うちや。いえいえ、どっちがエイという事ではないがです。これは、好みですきに、ただ、まったく違う表情になるというぜよ。竹の雰囲気で、まるで別の商品を見ゆうようですきに。
わざわざ海を越えて、イギリスからテレビ局が取材に来た言うても、
「ええっ?ABC?......ちがう。BBC...?」
「どっちも知らんちや」
「わしゃあ、RKC(高知放送)しか知らん」
と、言うて当時はピンと来なかったいうのが正直なところやったです。あれから20数年たってからです。ようやく、ああなるほどと思うようになったがです。ここ安和の虎竹の里にしかない不思議な竹やったら遠く外国からでもやって来てでも、一度見たいと言う気持ちは、こじゃんと分かるようになったがぜよ。