黒竹箒は踊る

黒竹箒


自分が働き始めた頃には、まだまだ国産の竹箒というのが沢山製造されよりました。3人がチームとなって作業をするがです。一人が馬と呼びゆう台にのせた竹を本数を数え、あとの2人が両端をヒモで縛ってくいのですが、ちょっとしたコツがあってから、縛る前に束の中心の数本を竹の元方向にずらしておきます。こうした後に縛って、中心の竹数本を木槌で打ち込んだら竹は元の方が太くなっちょりますので、こじゃんと(とても)ヒモが絞まるのです。


当時を思うたら、こうやって束にした箒の柄を10トントラックに満載して運んでいきよりました。あれだけの数の箒が製造されていたと思うたら、まっこと凄いことやにゃあと今でも考えます。輸入の竹箒におされて今では、ほとんど作られることのなくなった国産の竹箒。


けんど、この箒作りの火を少しでも長く灯し続けたい。そう思うて作った黒竹箒。地元産の黒竹を竹柄に使い、四万十カズラで縛っちゅう特別仕様の箒ぞね。昔とは比べようもないくらい少ない数ではありますけんど、そして、たかが竹箒と思われるかも知れませんけんど、時代の流れをずっと肌で感じてきた自分にとったら、まっこと出来上がった新品の竹箒は毎回、毎回、感慨深いものがあるがです。思わず持って踊り出すのは、ごくごく自然なこと、当然のことやきに。


コメント(2)

fugiena 返信

こんばんは。
昔は、どの家にも竹箒があったんですよね。
外用と家の中用の2種類。
外用の竹箒は小学生の頃の掃除当番の時に使用した覚えがあります。(私は40代後半です。)今は、一戸建てでもない限り、外用の竹箒は中々使う機会がありません。
使えば使うほど味が出る竹箒は、伝え続けていかなければならない日本の財産ですね。

竹虎四代目 返信

fugiena様

まっこと(本当に)そのおっしゃられる通りです。
昔はどのご家庭にも竹箒の1本くらいはありましたが
よく考えてみますとご自宅に竹箒のない方の方が多いかと思います。
これも守り続けていきたい竹文化の一つやと再認識しました
ありがとうございます。

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