竹節の道

竹節


曲がりくねった坂道を上り、曲がりくねった坂道を下り、はるばるやって来た山深い集落。今日は、竹と向き合うて生きる一人の職人さんに会いに来たがぜよ。熟練の竹職人さんは年々少なくなってきて、びっくと(少し)心細い思いをすることもありますけんど、なんの、まだまだ。若い力が立派に育ってやりよりますぞね。


おまんの顔は、まだ見てもないけんど、声すら聞いた事もないけんど、いやいや、分かる、分かる。ここに無数に落ちている、ずっと向こうの山道まで落ちている竹節を見たら分かるちや。おまんが、どんな男か知らんけんど、こんなん見たらおまんと分かり合えんはずがないがやきに。こんな景色に出会うた瞬間に、見たこともない山々や、小川のせせらぎや、竹林を揺らす風。煙がたなびいている向こうの民家までが、妙に懐かしささえ感じてきて、どうにも初めての場所とも思えなくなってくるのでまっこと(本当に)不思議ながですちや。


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