小学館「日本の歳時記」掲載

日本の歳時記


竹の抱き枕はご存じですろうか?竹は表皮がヒンヤリして気持ちがエイですきに、冷房のない昔から「竹婦人」等とも呼ばれて安眠グッズとして、ずっと愛用されてきちょります。竹シーツや竹枕なども昨年来の節電という事で見直されていますけんど、同じくこの抱き枕ゴザ目も沢山の方に知っていただくようになりました。


数は少ないのでご覧になる機会は少なかったかと思いますが、もともと前からあった抱き枕は六ツ目編みの寸胴型。竹虎の抱き枕は波目のようなウェーブをつけて、より使い心地を考えたものにしちょりますが、この抱き枕が何と、小学館さんが発刊されゆう「日本の歳時記」という本に掲載されたがです。普通の雑誌と又違うて大型カラー版のちょっとした辞典のような本ぜよ。なにやら風格があると思いよったらそれも、そのはずお値段も14,700円もする豪華本やきに。こんな立派な書籍に写真もつけて掲載いただけるとは、まっこと(本当に)長いこと時間もかけて何度も何度も試作を重ねた甲斐がありましたちや。今年の夏も暑いろうか?竹の自然の涼しさが、少しでも熱帯夜をやわらげて快眠のお役にたてたらえいにゃあと思うちょります。


竹屋の冬痩せ

竹酢液風呂


お風呂はエイですのう。南国高知言うたち寒い日があって、ブルブル震える一日は、なんか疲れがきませんろうか?竹の伐採や集荷は寒い季節だけなので、竹屋は「夏痩せ」ならぬ「冬痩せ」するがぜよ。そりゃあ、そう竹の積み込み始まったら、上着も何も脱ぎ捨ててTシャツ一枚やきに。頭のテッペンから、身体中から湯気がモワモワ立ち上るほど竹と格闘して、汗がひいて寒くなって、また汗をかく。それでなくても冬の外の仕事は身体がかちこばる言うか妙にダレますちや。(疲れます)


竹酢液


けんど、外が寒いだけにそんな疲れを吹き飛ばしてくれるポカポカお風呂は最高ぞね。夏はシャワーですます事が多い方でも、冬はゆっくりつかりますろう?ワシもそうぜよ。いつもは、カラスの行水でも、冬の竹酢液のお風呂は別。けんど、あんまり気持ちがエイいうて湯船の中で寝るのは風邪ひきますきに、ご注意ぞね。


黒塗りの乱れ籠

黒塗り衣装かご(乱れかご)


先日のブログでお話させてもろうた。白竹の明るい色目の脱衣籠とは反対に黒塗り衣装かご(乱れかご)は渋い色目が人気ながです。ワシにしたら昔から祖母が使いよったりして普通に家にあった馴染みの乱れ籠ではありますけんど、最近では製作する職人さんも、まっこと(本当に)少なくなって、ほとんど見かける事もなくなりましたちや。


この黒塗り衣装かごの一番の特徴は幅広にとった竹ひごを使い、底編みは少し空間を空けて編んじゅうところやにゃあ。見た目にも隙間のある編み目が一つのデザインとなって美しいし、持ってみても竹ならではの軽さがあって女性の方にも扱いやすい黒っぽい色目ながら、全体的に清々しい印象さえ感じるのは編み目のせいですろう。さすが、昔からずっと変わる事なく受け継がれてきた日本の道具やと改めて思うがです。


竹虎刻印の煤竹箸

煤竹箸


煤竹箸を手にしてつくづく思うがです。まっこと(本当に)煤竹が昔から茶人に愛されてきたのが、なんとなく分かる気がしますちや。この竹の持つ力やろうか?手に持っただけでこう何と言うがでしょうか。100年という長い間、家人を見守りながらずっと家を支えてきた。歴史というか、重みというかこの濃い飴色に燻された竹肌にやさしい手触りに感じるがです。


もちろん、日本唯一の虎竹箸も自分たちの自慢ではありすまけんど、煤竹には、ずっと人のお役に立ち続けてきた長い時間がある。びっくと(少し)別格な気がするがです。しかも祖父と、ずっと懇意にしていただいた渡辺竹清先生が削り出した一膳やきに迫力が違う。見るほどに天国におる祖父に届けたくなるような煤竹箸に竹虎のマークを刻印してみた。こりゃあ、たまるか本当に祖父に見せとうなったがぜよ。クロネコヤマト便は行きよりますろうか?


C・W・ニコルさん

バンブージム


C・W・ニコルさんをご存じですろうか?イギリス生まれですが、日本国籍を取得されて今は長野県在住の作家でもあり、環境保護活動家探検家という肩書きもお持ちの方です。ワシが初めてニコルさんを知ったのは、出演されちょったテレビCMですけんど、自分も田舎生まれ、田舎育ちですきに、自然派のニコルさんにはずっと親近感を持っちょりました。


ご自分たちで整備したアファンの森のスライドを見せていただきました。整備する前とした後では、同じ場所と思えないくらいの美しさ。森には光と風が必要なのだと改めて思うたのです。竹林には行くことの多いワシですけんど、なるほど、木も竹と一緒やにゃあ。考えたら同じ自然やき当たり前の事。今回、初めてC・W・ニコルさんの講演を拝聴させてもらいましたが、アファンの森に子供達を招いて何かプログラムをして遊ぶのではなく、その環境さえ与えてあげたら、大人達が楽しく遊んでいたら、子供達は自分から心を開いて遊びたいように遊ぶ。そんな言葉が、こじゃんと(とても)印象的やったがです。


バンブーダンス


お話を伺った後にバンブージムやバンブーダンス。竹の玩具などで思い思いに、はしゃぐ子供たちをみながら、人と竹とは、やっぱり切っても切れない縁があるとしみじみと感じるがです。竹で人はもっと元気になったり、笑顔になったり、喜んだりできる「笑」という字には、どうして「竹」がつくろうか?ようやっと分かってきた竹虎がやる事は、ますます広がるちや。


土佐山アカデミー

土佐山アカデミー


虎竹の里には色々な方がお越しいただきますけんど、この日来られちょりましたのは、土佐山アカデミーという所からの若者の皆さん。「んんっ?土佐山アカデミーとな?」どこかで聞いた事があるちや。確か新聞などでも見た覚えのある名前ぜよ。そう思いながら調べてみたら......、おおっ!100年続く事業創出を目指す土佐山アカデミーと書かれちゅう!ホームページにも「あなたは次の百年をつくる一人ですか?」と、こうきたもんぜよ!!!


今年で創業118年の竹虎が、次の100年に向けて動き出しちょりますので、まっこと、方向性はバッチリやいかっ!!!それで、この若者たちは次世代に残す文化を守るべく、高知の土佐山に都会からにやって来た面々こりゃあ、顔が輝いちゅうハズぜよ。けんど、どうして竹虎にまで、わざわざ来られたがやろうか?


たずねてみたら何とせっかく高知に行ったなら是非竹虎さんには行ってきいや。そう言われたそうなきに。まっこと(本当に)嬉しいが違うちや。ああ、残念じゃあ、ワシがおったら日本唯一の竹林にも案内しましたのに、今度来られる時には是非一回連絡してからにしとうせよ。連絡方法は知っちょりますろう?そう、矢文。(矢文など知る人はおらんきにっ!)


雑誌「リラックスグッズ」掲載

雑誌「リラックスグッズ」掲載


まっこと(本当に)現代はストレスの多い時代やと言われよります。都会は刺激もあるし、便利な事も多いですけんどその反面人が多いきに田舎には無い大変な事もありますろう。いつもは虎竹の里の山々を歩くワシが、前日はたまたま都会のジャングルで迷っていて、地下鉄乗ろうと思うて待ちよりましたらホームに電車が入ってきたがです。そしたら、こりゃあ~たまるかっ!これほど人を詰め込んで乗せたらイカンやいか!?


目を白黒させるほど満員電車ながやき。思わず後づさりして乗らんとこと思いよったら、後ろの人に押されて押されて結局乗ってしもうたがです。ギュギュウ電車に揺られながら、まこと、これはストレス感じる事もあるろうにゃあ...。つくづくそう思うたがちや。だから、身体の疲れを取ったりリラックスできるちょっとしたアイテムが大都会ほど必要ぜよ。ワシが昔からイチオシしよりますのが、自然の竹そのまま半割しただけの青竹踏み歩く事の多い都会人には一家にひとつ常備しちょくと役にたつ健康グッズちや。


先日発売されました雑誌「リラックスグッズ」完全カタログには、この青竹踏みも掲載してもろうちょります!!!竹で人を癒してくれるお手頃グッズから虎竹孫の手など、なんと、なんと4ページも掲載いただいちゅう。ペラペラと雑誌をめくりよっても、その部分だけ竹虎ワールドぜよ。こりゃあ、まっこと(本当に)ありがたい事ながです。


静かに雄弁に物語る脱衣籠

脱衣かご


こじゃんと(とても)嬉しい日となったがです。竹かごの形の美しさ、竹表皮のなめらかさに実用的な堅牢さをも兼ね備えた白竹麻の葉脱衣かごが編み上がってきましたちや。もくもくと竹と向き合う職人さんが丁寧に丁寧にヒゴをとり、ひとつひとつ編み込んでいく籠なので、少しまとまったご注文などいただいたら、数ヶ月はゆっくりお待ち頂くことになる脱衣かご。


脱衣籠


木の香りが漂う温泉でのんびり汗を流したあとは、美しい庭園をながめながら季節の心地よい風に吹かれて一休み。それから、お楽しみ、土地の美味しい料理に舌鼓をうつ。思わず日常を忘れてしまいそうな心づくしのお宿で。ふと部屋の隅に目をむけたら、静かに鎮座する脱衣籠が女将のセンスの良さを雄弁に物語るがぜよ。


しずおか竹サミット

しずおか竹サミット


静岡は実は竹どころで昔から色々な竹細工がある土地柄ながです。ひとつは有名な竹千筋細工で、竹を割って、細かい丸ひごにして使うて盛り器や花籠など、さまざまな用途に使う竹製品が作られてきたがです。また、安倍川という大きな川が流れちょりますが、その辺りには昔から良質の竹が多くて竹籠なども多く作られてきました。


ワシの学生の頃には、静岡で作られた竹のコップや器類が店頭にズラリと並んでいたことも懐かしく思いだすがです。そんな静岡で、ふじのくに里山コミッション主催の、しずおか竹サミットが開催されました。会場には立ち見でも良いから参加させて欲しいという方も駆けつけ、何と300名という大盛況ぶり。こんなに竹に関心のある方が多いのかと、改めて今の時代に竹が注目されているのをヒシヒシと感じたがです。


竹サミット学生さん


基調講演から4つのパネルディスカッション。屋外の展示イベントスペースの用意など今回のサミットには、こじゃんと時間も人手も必要やったと思うがです。それを影で支えた力のひとつが地元のボランティアの学生さんたち、明るい笑顔で懸命に動きゆう。環境への意識の高い彼らのような皆さんがおられる事は、まっこと心強い限りです。


雨が降って水分がたっぷりとなった竹は、ぐんぐん成長するがちや。何と、たったの3ヶ月で親竹と同じ大きさまで伸びるがです!竹サミットへの参加が契機となって、筍のようにビックリするほど成長する学生さんもおるかも知れん。一人でも二人でも、そんな若者がおったらこんな将来に明るいことはないがぜよ。


黒竹玄関すのこロングサイズ

黒竹すのこ


黒竹玄関すのこは、文字通り玄関先に置いてもろうて靴を履いたり脱いだりの時に足を一瞬でも喜ばしてもらいたい、そんな気持ちで製作したものながです。ご愛用いただくお客様からは「玄関が料亭になった」そう喜んでいただく方もおりました。まあ、そこまではなかなか思うちょりませんけんど、お陰様で沢山の皆様にご用命いただきよります。昨年は、自分もいつも愛読しよります有名な雑誌に掲載いただいて、知っていただけるキッカケいただいて嬉しいにゃあと話合いよりましたが、何と今年も掲載が決まり、まっこと感謝しちゅうがです。


そして、ありがたい事に最近多いのが、黒竹玄関すのこの別誂えサイズのご注文ながです。お客様のご自宅のそれぞれの玄関や置き場所にあわせて、高さの別注は前々から多かったがですが、150センチや、180センチといったロングサイズの別注も最近は増えてきましたので、職人一同、ハチマキを締め直してエイものを作る気満々ながぞね!


四角い根曲竹の籠が出来たぜよ

根曲竹角手提げバッグ


この根曲竹の買い物籠は、根曲竹角手提げバッグと呼びよります。「角手提げ」というとおり、竹の手提げには珍しいユニークな四角い形をしちゅう籠。まず一番エイところは根曲竹らしい頑丈なつくりですけんど、素朴で自然な感じを残しながら和風のリビングだけではなく洋風のモダンなお部屋にも不思議と似合うてしまうのは、やはり伝統という時間が磨いちゅうきやろうか?


車に乗って、近くのスーパーや市場にお買い物に出かけられる方もおると思いますが、こんな形の竹籠やったら、まっことスーパーに置いちゅうプラスチックの買い物かご(レジカゴ)みたいに、後部座席やトランクに入れても安定感がこじゃんとエイ。だからお買い物かごとしても、キッチンに置いちょいて野菜籠としても、リビングなどで小物入れとしてもこじゃんと(とても)重宝する竹籠ですぞね。


無限の宝の山

しまね産業振興財団


島根県は四国山脈をこえて、瀬戸内海を越え、さらに中国山地を越えたところにある太平洋に面した高知から言うたら、日本海にまで辿りつく遠く離れた県。けんど、県勢というがですろうか?人口も同じくらいで県全体の経済力なども日本の中で高知と同じで、なんとなく親近感を覚える土地ながです。そんな島根から虎斑竹専門店 竹虎へ産業振興財団の皆さんが来られちょりました。


田舎者のワシが困っちゅうのを見かねて、わざわざ日本海から何か教えに来てくれるがやろうか?そう、思いよったら反対に、


「これから地方はどうしたら良いと思われますか?」


と、こう言われますきに、こりゃあ、すっかり調子が狂うてしもたちや。まっこと(本当に)、おまさんらあ、竹の事やったら少しは分かる事もありますけんど、そんな大きな話はワシには、サッパリぜよ。けんど、これだけは言えるかも知れませんぞね。島根にしか無いものがいっぱいあるし、島根ならではの事や人、考えたら無限の宝の山に暮らしゆうがですちや。それは、高知も、まったく同じことながです。


迫力満点!煤竹の天井

煤竹天井


そのお店に一歩足を踏み入れたら「ええっ!?」と思うたがです。正直、そんなにこだわったお店とも思いよりませんでしたが、こりゃあ、この天井からくるオーラは凄いちや。こじゃんと広い店内には、長い長いカウンターがあって、沢山のお客さんがワイワイやりよります。


たちこめる煙の向こう側までずっと続く煤竹の天井。最近は、煤竹が少なくなってきた事もあってか、人工的に短時間で煤竹を製造する技術もありますけんど、ここな煤竹は本物を使うちゃある。囲炉裏の煙で毎日、毎日燻されて、100年、150年という歳月で生み出された竹はやっぱり違うがです。おおの、けんど、さすがにこれだれ並ぶと風格がある、びっくと(少し)威圧感さえ感じるがやき。上の方ばっかりキョロキョロ落ち着かん。そんな一夜やったちや。


「よそ者、若者、馬鹿者」

虎竹林へお客様


都会から、ひとりのお客様が虎竹の里にやって来られちょりました。虎竹林に入られると目をランランと輝かせて、写真をカシャカシャ!カシャカシャ!ちょうど、天気も日本晴れ。明るい日差しが竹の葉から木漏れ日のように差し込み、それで無くとも気持ちの良い竹林がさらに心地良く感じられるがです。そんな竹林を見回して、まっこと(本当に)満足そうな表情にワシの方もこじゃんと(とても)嬉しゅうになってきますぞね。


虎竹の里


「こんな山で働きたい...」


真剣な顔で言われます。確かに都会から見る田舎と実際に地方の山里に暮らし仕事するという事の隔たりは小さくはないかも知れません。けんど、こうやって虎竹の里の外からの目というのは、これから自分たちが変わっていくのに大きなヒントをいただく事が多いがです。竹虎は、絶対に変えんものは変えんぞね。反対に、変える事は、すっと変えるぞね。いやいや、ずっと変わり続ける。それが伝統やと思うちょりますし、父も祖父もやってきた道。


「よそ者、若者、馬鹿者」


地域に変革を起こす、ひとつのキーワードと言われちょります。100年後の虎竹を思うとき、大いに結構、大歓迎ちや。「よそ者、若者、馬鹿者」これは誰の事でもない、ワシ自身の事やきに。


特産黒竹

黒竹


黒潮の流れにも感謝せないかんぜよ。黒竹というのは文字通り色が黒々とした竹。温かい土地に多く育つ銘竹ですが、黒潮が流れて温暖な気候のよく似た高知や和歌山などの特産。虎竹の里の近くにも、ずっと昔から有名な産地があるがです。


伐り出された黒竹を、2トントラックで積みに行きます。どうも良質の黒竹は海に近い山々に育つことが多いのです。山出しの季節は、虎竹などと同じ冬場なので本当やったら寒いはずながですが、海沿いの小高い山の斜面などは太陽がサンサンと照って、海面からの照り返しも少し眩しいくらい。これが、冬やろうか?ちょっと首をかしげたくなるような春みたいな陽気の中で、竹の積み込みをする事もあるがです。


虎竹や真竹のように太くなる竹ではなく、直径2センチ程度の大きさが中心なのですが、見た目の美しいので昔から色々な竹細工に使われてきた黒竹。竹虎でも40年来のロングセラーの虎竹縁台に使われますし、最近こじゃんと(とても)人気になっちょります黒竹すのこ。小さい竹製品やと黒竹箸箱等にも使います。店舗の内装材として使われる事も多いので、束のまま、現地のお店様までお送りさせて頂いたり、細工のしやすさもあって一般のお客様もわざわざ県外からお越しになられて、黒竹の竹材だけをお買い求めいただくのです。まっこと、この黒竹も昔から愛される地元の竹ぞね。


虎竹の里の山道

虎竹の里の山道


虎竹というのは、安和の虎竹の里のでしか成育せんがです」


こう説明したら、伐りすぎて無くなることはないですか?そんなご質問をいただく事もありますけんど、竹は木のように苗を植えなくても地下茎でドンドンひろがって、毎年、毎年、筍をだして、しかもたったの3ヶ月で親竹と同じ大きさに成長するパワフルな植物やき。伐って竹が無くなる心配は、まったく皆無ぜよ!


それよりも伐り子さんが、いくら頑張っても日本唯一の虎竹の里にアチコチにある虎竹の竹林を周りきれないがです。今年はこの山、来年はこの山いうてそれぞれ入る竹林が違うという事は登っていく山道も毎年違います。けんど、今年伐り出しゆう山は一発で分かるちや。なんせ、竹を満載にして運ぶ機械が行ったり来たり通りますきに、それぞれの山道が、この通りぞね。こじゃんと(とても)綺麗になっちゅう。竹の先端が路面につけた跡までしっかり残っちゃある。虎竹の里の竹林への山道ならではぜよ。


煤竹箸、復活

煤竹箸


「なにっい~~~~~~~~~~~!」


ワシが大声を出したがぜよ。どうしてかと言うたら、もう4~5年も愛用しよります煤竹箸を事もあろうか引き出しに挟んでしもうて、


「先っちょを、折ったつかあぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!」


思わず絶叫するのも当然なのです。実は、この煤竹箸、ただのお箸ではないがです。祖父の代から懇意にしてもろうちょります竹芸界の巨匠とワシがいつも尊敬している渡辺竹清先生作のもの。工房に遊びにいった時に、「持って帰り」と頂いた特別な一膳やったのです。


竹箸


けんど、まあ、冷静に考えたら何ちゃあ問題なしやき、そう、そう削って先をとがらせたら、又同じように使えるがですきに。びっくと短くはなりましたが、これで復活!!!昔からの囲炉裏のある民家で100有余年の時間が育んだ煤竹です。まだまだ何年も何年も愛用していくがやき。

これぞ、熊手

熊手


熊手いうがは、文字通り「熊の手」いう事ですろう?ワシの子供の頃「グリズリー」言う映画がありました。びっくりするばあ大きい熊が、ムチャクチャなパワーで大暴れするストーリーやったと思いますが、この熊手は、最強!まさにグリズリー級の迫力ぞね。


1本、1本の竹の幅、厚み、鋭利さ。どれをとっても普通の熊手を圧倒しちょります。これで、ザザザッーーーーーと掃除したら、すごいぞね。ザザザッーーーーーやきに(意味不明)高知で放送されよりますビールのコマーシャルに「たっすいがはイカン」(手応えのないのはダメ)と言うのがありますが、まっこと(本当に)、たっすいがはイカン方にはおすすめの熊手ちや。


竹の水面

竹ひご


これは何か分かりますろうか?川に沈められているのは竹。実は竹編みに使う竹材を水の中に浸けこんでいるのです。竹が水分をすって、竹を扱いやりやすくなると、老年の職人さんは笑いよりました。美しい川には鮎やろうか?小魚がいっぱい泳ぎよります。空も青く、高い、雲はゆっくり流れゆう、遠くの山の緑が美しい。


かって竹細工の盛んやった頃には、何人もの竹職人さんがおられて、竹を割る、竹を編む。この川にも、さぞ沢山の青竹がこうやって岸に繋がれちょった事やろう。道を行き交う人達が足をとめる。丁寧に編み込まれた竹ざるを手にとる。大きな竹籠を買い求める。笑顔のいっぱい見えるにぎやかなりし竹細工の店先を想像しながらしばらく、ここで目を閉じちょりました。竹の明日はどんなやろう?川面に映る青空に祖父の顔を探すけんど風がゆっくり渡って行くだけながぜよ。


竹曲げの秘密兵器

竹曲げ


これっ!これっ!これぞね!これで竹を一定の角度に曲げていくがやき。自然の竹は真っ直ぐのように思われるかも知れませんが、実は、かなり曲がりくねりがあるのが普通です。この竹を真っ直ぐに矯正していく作業を"竹の矯め直し"と言うのですが、真っ直ぐに矯め直す時にもガスバーナーの火で熱を加える。そしてまた、曲げたい時にも熱を加えるがです。


熱をもった竹は、びっくと大げさに言うたらまるで飴細工のようやちや。職人の思うようにグニャり、グニャリと曲がっていくがです。ただ、ひとつ注意するのはその火加減。虎竹の油抜き加工をはじめたら、ガスバーナーの方で時折「パンッ!!!......パンッ!!!」と威勢のエイ音が聞こえてくるのですが。これは炙りすぎて竹が破裂する音。竹を動かしながら火に当てないと焦げてしまう事もあります。まあ、そんな大切な火力の微妙な調節が簡単にできるように、秘密兵器が出来上がってきたがです。さて、このバーナーで出来上がった竹ひごでどんな商品が生まれてくるろうか?楽しみが、又ひとつふえたちや。


そば処 与市

スパリゾートハワイアン


そば処と言うても近くのお蕎麦屋さんではないがです。なんと、福島県のいわき市。スパリゾートハワイアンズさんの中にある蕎麦屋さん。福島のいわき市?随分と遠くやねえ、と思われるかも知れませんが、実はここには20数年前から縁のある施設やったがです。


にしもとおさむさんの絵


当時は、まだ「常磐ハワイアンセンター」という名前やったと思います。仕事で行ったものの右も左も分からない東京で、そうぜよ確か表参道あたりだったと思いますが、道に迷っていた時にキョロキョロしよった時、ふと目についた一軒の小さな画廊。オレンジ色を基調として鳥が描かれたハガキほどの大きさの絵がどうも気になって、つい買うてしもうたのです。そこに座っていたのは、その絵の作家の方で、こじゃんと(とても)喜んでいただいて手元にあった紙にマジックでサラサラと絵を描いてワシにくれたのです。その絵には「常磐ハワイアンセンター」と書かれちょりました。


20数年前のその時は常磐ハワイアンセンターと聞いても、一体どこかさっぱり知ませんし、何とも思ってもいなかったのですが、フラダンスを踊っている人達が妙に楽しそうやったがです。しばらく忘れちょったその絵を思い出したのが、2006年の公開の映画「フラガール」段ボール箱を探して取り出して見たら、やっぱり楽しそうなフラダンスを踊りゆう。それから気になっていたスパリゾートハワイアンズ。


与市


何かありそうやにゃあ...。理由も分からず、ずっと前から気になっていた「ハワイ」やし、まあ、誘われたので行ってみろう、そう思うて今回は、ついでの予定もありましたきに、まっさきに予定を入れちょりました。そうこうして、まるで引き寄せられるように足を運んだのが広い施設の中にある、そば処「与市」やったのです。


虎竹


店にたどりついて、まっこと暫く動くことが出来んかったちや。


「こりゃあ、おまんらあ何をしよるぜよ?」


「いつから、ここにおる」


「ずっとワシを待ちよったがかえ?」


作務衣に丸坊主でブツブツ言うてニヤニヤするワシを、店の人がびっくと(少し)見よったです。まっこと気持ちワルがらせてスミマセンでした。けんど、まあ、こんなに高知から遠くに離れたところで、思いがけずに古里の虎竹と再会したがやき。まっこと(本当に)嬉しいやら、不思議やら、何やらここまで迷わず来た理由が分かったような気がして、一踊りしたいようなそんな気持ち(もちろん、フラダンスぜよ)かまん、かまん、誰が見よったち、そんな事は全然かまんがぜよ。


「蟻とをし」の竹箸

煤竹箸


前に何かの本で読んだ事があるがですが、竹の茶杓と言うても信じられん作品が残っちゅうもんですぞね。片桐石州作「松しま」という茶杓があるそうですが、昭和14年に2万8000円という今の金額に換算したら、ええっ!?本当かえっ!?何回も見直しましたけんど、間違いない茶杓1本に2億数千万円!?そんな凄い値段で売買されたいう話やったです。


さて、その本の中に、茶杓の真ん中、節のあたりに穴が3つ並んで空いた「蟻とをし」という独特の形をした茶杓も掲載されていたのです。お茶道具の名品とは比べようもないがですが、ワシが毎日使うちょります竹箸も古い民家の屋根裏で百年という風雪を耐えた煤竹を使って、祖父の代から懇意にしていただく竹芸界の巨匠渡辺竹清先生が自分のために削りだしてくださったお箸。


限定で販売させてもろうちょります煤竹箸とは又違うて、虫食いの小さな穴が開いちょります。けんど、この虫食いの穴が「蟻とをし」のように、先生の遊び心や煤竹の年期を表しているようで、そしてひとつの景色として煤竹箸に深い味わいと、いっそうの趣をくわえてくれるがです。頂いてから、もう5年になるろうか?まだ使えず大事に持っちゅうお箸の一つながです。


竹細工作り方教室

竹細工作り方教室


日本唯一の虎竹の事を知ってもらいたくて、地元の安和小学校では特産の虎竹を使うた竹細工編み方教室を開催させていただいちょります。回数を重ねるごとに学校の先生方も少しづつ花籠の作り方を覚えられてきて、子供達へのアドバイスもなかなか堂に入っちゅうがです。地元のケーブルテレビ局さんも取材に来てくれるし、普段とは少しだけ違うこんな日の事を、ここにしかない虎竹の事を、大きくなっても、もしかしたら安和を離れて暮らすようになっても思い出してくれたら、まっこと(本当に)嬉しいがやけんどにゃあ。


花籠編み方


けんど、考えたら竹細工作り方教室というのはエイちや。前にオーストラリアからの学生さん30人くらいおったろうか?そこで、工場長が教えた事もありましたが、もちろん英語が話せないもんやきに英語言うたらワシぜよ。


「アハ~ン」(これが、日本唯一の虎竹ぜよ。)


「イヒ~ン」(竹虎は1894年から創業しゆう老舗竹屋ですきに。)


「ウフ~ン」(イギリスBBC放送も取材に来ましたちや。)


「エヘ~ン」(それユニクロのTシャツかよ?竹虎はコラボした事がやき。)


「オホ~ン」(え?ちがうちや、ワシは男前やけんど日本の俳優じゃあないぞね。)


まあ、こういう風に言葉での意思疎通は出来ずとも、籠の編み方を通して交流ができるがです。そもそも竹に触ったこともない海外の方の若者たち。これほど日本的な体験がありますろうか?今でも、この日の虎竹花籠づくりを覚えちゅうはずぜよ。もしかしたら、これから竹虎Facebook(フェイスブックページ)を訪ねてくれる事もあるかも知れん。国際的になってくるにゃあ。こじゃんと(とても)ワクワクするぜよ。


白竹手付きランドリーバスケット

白竹手付きランドリーバスケット


白竹手付きランドリーバスケットは凄いぞね。何が凄いと言ってもまず一番最初に、実際に洗濯をしてきた人が考案した事。実際に洗濯をしてきた......?そりゃあ、一体誰ぜよ?


「はいっ!自分ですっ!!!」


ええっ?本当ですか......!?


ええ、本当ながです。(キッパリ)何を隠そうワシは明徳中学、高校と全寮制で、ずっと自分の洗濯物は自分でしよりました。まあ、雑な男ばかりですから誰の洗濯物か分からなくなる事など日常茶飯事。なので、明徳では「同じ釜の飯を食べた仲間」と同じに「同じパンツをはいた仲間」などと言う言葉もあるくらいです。(当時の話です)


そして、大学時代も合わせて、ゆうに10数年の洗濯歴のあるお洗濯の何たるかを極めた自分が、こんな籠が欲しい......そう思うた竹籠ながです。と、胸を張りましたけんど、自分もずっと洗濯しゆう訳でもありませんし、偉そうな事も、まったく言える立場ではないです。(ご推察のとおり)


ただ、内側のお洗濯物にやさしいように、竹籠の表も裏も、竹表皮がでるように2枚あわせにして編み込んでいたり、底部分、側面の力竹、持ち手、細い竹節を使った足部分など、まっこと、こだわって製作しちょります。けんど、もしかしたらサイズや使い勝手など、実際にこれからご愛用いただく皆様の声で進化していく事を思うたら、竹のある暮らしを楽しむ全国のお客様と一緒になって、この竹籠を完成に近づけてゆく。そんな風にも思えてくるがです。


竹は無限ぜよ

竹ざる


日本に昔からある竹かご竹ざる等の伝統的な竹と、機能性を活かした新素材の竹と考えた時に「竹は無限」いつも、そう自分は話しております。竹は古来、人の近くにあってから、毎年、毎年、筍をだして、わずか3ヶ月で二十数メートルの親竹と同じ大きさまで急成長して、周りに暮らす人たちに計り知れない恩恵を与えてきてくれたと思うがです。これは、もしかしたら今では結構忘れられつつある事かも知れませんけんど、かっての日本の日々の生活の隅々までに竹があって親しまれてきた事を考えるだけで容易に想像がつくがです。


竹林


建築用材、竹繊維、竹紙、衣料、資料、バイオエタノールなど、抗菌性や消臭性などの活用もみすえた竹の新しい可能性。竹の未来を考えながら竹林に入る。サクッ、サクッ......サクッ、サクッ......。下草をふみしめる自分足音と小鳥の遊ぶ楽しげな歌声。バタバタバタッ......!おっと、近くにおった雉の夫婦が飛びたったちや。見上げた頭の上の竹たち。そんな事を知っいるのか?、いないのか?竹は今日も風にそよいでサラサラ言うだけ。しなやかに笑うだけぞね。