鉄のくさび

竹職人のくさび


一生懸命に竹籠と向き合うちゃある職人さん、ここの作業場は竹でいっぱいやちや。丸竹のままのものもあれば半割にされたものもある。薄く剥いで竹ヒゴにしたものもあって、編みかけのものも、出来上がった竹製品も、細工の過程で出来た竹の端材やごみ、とにかく竹でいっぱいちや。


いよいよ、こんな所におったら時間を忘れる。気がついたらもう辺りは真っ暗ぜよ。そろそろ帰らんとイカンにゃあ。口にしても腰が上がらんがやきに、まあ、もうびっと(少し)、そう思うて横を見たら、ややっ!?見慣れない鉄のくさび。


「おんちゃん、コレは何に使うがですか?」


職人さんは手をとめず顔だけコチラにあげて教えてくれるぞね。


「なるほど、くさびの広くなっている頭で釘を打つがですか...」


それにしたち落ち着く竹の工房、どうしてか分かった気がする。幼い遠い昔に帰れるような気持ちになるき......。いやいや、ワシは、あの頃に帰っちゅうがや。


チラリと顔をあげた職人さんを見て思うたがぜよ。


コメント(2)

riko 返信

今日 9月30日の記事もそうですが 
作業所は 浦島太郎さんの世界ですね。
時の流れを忘れる 時を 過ごせるのは素敵なものです。

竹虎四代目 返信

riko様

竹工房は本当に時間を忘れますちや
こんな時を過ごせるだけでもまっこと(本当に)幸せやと思うちょります。
ありがとうございます。

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