竹の里の笑顔

山の職人さん


山出しの仕事は、まっこと(本当に)ずるうない(楽ではない)ぜよ。「キンマ」と言うて木製の大きなソリを使うて竹を運びよった頃から今はキャタピラーの付いた運搬機が普及しちょりますけんど、それでも伐ったばかりの重たい竹を肩に担いで急斜面でする重労働に変わりはありません。竹林で竹の良し悪しや年数を見分ける竹伐り職人としての技術も必要やし、土場で1本、1本竹を選り分ける眼も必要ぜよ。


分差し


これは、みんなあが使いゆうノギス。虎竹の里では、「分差し」と言うたほうが分かりやすいけんど何本も何本も竹を選別しよったら眼が狂ってくるので必ずこの「分差し」で時々確認しながら選別しよります。


虎竹選別


おんちゃんが虎竹を選りゆうがを見ながら思うがです。いつまでも、こんな仕事が続くように、こんな光景があるように、こんな自然があるように、こんな笑顔が見られるように、大学4回生の夏の夜、全焼した大火の中で誓うた思いは何があったち、どう、世の中が動いたち、ひとつも変わっちゃあせん。この世界中でワシがやらんで、誰がやるがぜよ。



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