「ヨシヒロ、ここで待っときや。」
祖父はそう言うと、ドアをバタンと閉めて歩いていったがです。ここは、一体どこやろうか?ボクの住みゆうところの一番大きな道路と比べたら、びっくりするばあ広い道。祖父の歩いていった方がながめたら、お店がいっぱい並んじゃあるあれは商店街やろうか?行きかう人も、なんか違うちゅう。どれっぱあ待ったろうか、一人でも不思議と寂しゅうなかったがは、車窓の景色が退屈せんかったきかも知れんちや。ドアが開いて、祖父が帰ってきましたぞね。
「ヨシヒロ、そこが本能寺やで」
「ノブナガさん知ってるか?有名なとこやで」
目をとじたら、あの日の祖父の声が、竹一筋やった祖父の声が、今でもハッキリ聞こえてくるちや。40数年前、この場所で、車をとめて、なんちゅう、幸せな時間やったろうか。
おじいちゃん、見てくれよりますか?
ボクは、あなたに近づけよりますか?
分かっちゅう、分かっちゅう。分かっちゅうぜよ。
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