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虎竹抱き枕、季節外れの別注品を制作しました

虎竹伐採


日本唯一の虎竹とは?

いつもお話させて頂くことではありますが、虎竹は竹の表面に虎のような独特の斑点模様が浮かび上がることからその名がつきました。この模様は、高知県でも須崎市安和の限られた谷間の土壌に生息する特殊な細菌の作用によるものと言われ、移植しても他の場所ではこの模様が出ないという、まさに大自然の神秘のような竹です。この虎竹が今、120年に一度という開花の時期を迎えていることも前々からお伝えしている通りです。


虎竹伐採


竹は大きな家族

竹林は全ての竹が地下茎で繋がっている大きな家族です、一部で花が咲きはじめると次々と広がって竹林全体の竹が一生を終えたかのように枯れてしまうため、昔から不吉な予兆と捉えられることも少なくありませんでした。でも、ボクたちはこの機会をネガティブな現象とは考えずに、むしろ次の120年へと命を繋ぐための「再生」の証、吉兆竹(きっちょうだけ)として、喜ばしい節目として捉えています。




虎竹抱き枕の製作工程

さて、そんな虎竹を使う竹職人の仕事を皆様に知って頂きたいと思い、職人の手が、まるで命を吹き込んでいくような抱き枕の製作工程を動画にしました。


虎竹抱き枕の編み方


竹編みの型

竹ヒゴを編んで籠にしていく細工のことを、編組(へんそ)細工と呼びます。編組には木型などの型を使うことも多いのですが、丸い抱き枕の形を一定に保つため、現代の知恵として塩ビパイプを利用しながら均一な力加減で竹ひごを編み上げていきます。性質も全て異なる自然の竹材、特に虎竹は模様の出方が一本ずつ異なりますが、職人はそれらを瞬時に判断し、指先の感覚だけで適度に心地よい弾力を生み出していくのです。


虎竹抱き枕


別注サイズのオーダー

竹抱き枕といえば、蒸し暑い日本の夏を涼しく過ごすために工夫された道具であり、扇風機やエアコンの無かった当時には夏の風物詩として広く愛用されていました。竹編みの間を風が通り抜ける抜群の通気性と、竹そのものが持つひんやりとした肌触りは、熱帯夜を快適に変えてくれます。


虎竹抱き枕の作り方


今回は、寒くなってからの季節外れのタイミングでいただいた別注サイズの製作でした。この長いロングサイズをご覧ください!しかし、季節といい、サイズ感といい、お客様によって製作させてもらう竹製品はまちまちです。生活が多様化する中、お客様によっては、抱き枕も本来とは異なる、様々な使い方をされる事もあるのです。


虎竹抱き枕


No Bamboo, No Life

抱き枕が編みあがった動画を最後までご覧いただきますと、締めくくりに、いつも「No Bamboo, No Life」という言葉で締めくくらせてもらっています。これは、単なる道具としての竹細工や竹製品を超え、竹が日本の文化や思想にまで寄り添い、多大な影響を与え続けてきたと思っているからです。竹の開花という体験したことのない節目の時だからこそ、大きな声を上げていきたいと思っています。


虎竹伐採


虎竹の山から

静かな竹林では、土佐藩政時代から続いてきた山の仕事が続いています。竹を伐る音、竹を倒す音、遠くに聞こえるヒヨドリの声、ずっと続いてきた虎竹の里の営みも後一月と少しになりました。



竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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