
虎竹の里では、野菜や果物を近所からいただく事も多い。先日も丸々と大きく太った大根を頂戴した(笑)、冬の寒さが深まるこの時期、大根がますます美味しくなる。煮ても焼いても美味しいので大好きだ。しかし、何と言ってもやはり欠かせないのが「大根おろし」だと思う。シャキシャキとした食感とほどよい辛みが、焼き魚や鍋料理を一層引き立てる。しかし、一般的なおろし金ではどうしても細かくなりすぎ、水分が出てしまうことがある。そこで大活躍しているのが竹製の「鬼おろし」だ。
竹製鬼おろしの最大の特徴は、粗めにおろせる点である。竹は縦に繊維が沢山通っていて非常に硬質だが、その竹歯が鋭く立っており、大根を力強くすりおろしても適度な食感を残すことができる。一般的な金属製のおろし金とは異なり、大根の繊維をつぶしすぎず、ふんわりとした仕上がりになるのが魅力だ。さらに、竹は水切れがよく、使い終わった後の手入れもしやすい。

寒い冬には、おでんや鍋料理にたっぷりの鬼おろし大根を添えて、さっぱりと楽しむのもおすすめ。鬼おろしで作る大根おろしは、余分な水分が出にくいため、味が濃く、料理との相性も抜群なのだ。また、消化を助ける酵素も豊富に含まれており、食後の胃にも優しい。

他の竹製鬼おろしとの違いは、この平たい持ち手、しっかりと握れるように作られている。すりおろす際の安定感があり、力を入れやすいので、女性の方でも使いやすい。昔ながらの竹の道具は、手作業の温かみと実用性を兼ね備えている。ぜひ、竹製鬼おろしを使って、この冬の食卓をより豊かに美味しくしてください。

埼玉県の比企郡小川町は、古くから和紙の里として栄えた場所である。和紙と竹細工は深い関係があり、竹職人も多くいたため、虎竹の里から遠く離れてはいるが、ボクも何度か訪れたことのある町である。そんな小川町には、「土地の持つ力」があると、江戸蒔絵赤塚派10代の三田村有純先生は語る。

蒔絵といえば漆だが、皆様は漆と聞いて何を思い浮かべるだろうか?多くの方が漆器類や塗りのお箸を想像するかもしれない。竹細工にも漆は使うので多少の事は知っているつもりではいた、しかし、三田村先生の文学講座「日本人の生活と漆」を拝聴させていただき、ボクはまったく異なる面白い世界が広がっていることに驚いた。

漆は単なる塗料ではなく、日本の文化や精神、生活の一部として根付いてきたものである。歴史をさかのぼり、分かりやすく解説いただく三田村先生のお話にのめり込む。そして、その漆を巡る話の中で特に印象的だったのは、ヨーロッパでの漆の木の植樹プロジェクトだった。ヨーロッパには漆の木が自生しておらず、日本のように伝統的な漆工芸を根付かせるには、まず木を植えることから始めなければならない。このプロジェクトは、漆の木を育て、やがて森を作り、人材を育てるという壮大な計画である。

漆の木は成長に時間がかかり、漆液を採取できるようになるまでには約15年の歳月を要する。木の寿命はさらに長く、持続可能な資源として活用するためには、数十年単位の計画が必要である。こうした長い時間軸のなかで、日本の漆文化が新たな土地でどのように育まれていくのかを想像すると、とてもワクワクする。

このプロジェクトを進めることで、漆に対する新たな価値観が生まれ、未来の職人たちに受け継がれていくことが期待される。25年後、この漆の森がどのように成長し、どのような実りをもたらすのか、今から楽しみである。日本の伝統文化は、一見すると過去のもののように思われがちだが、こうした挑戦を通じて未来へとつながっていくのである。
漆の世界には、まだまだ知られざる可能性が広がっていると感じた。ならば、竹も同じではないだろうか?三田村先生に多数の著作もあるようだから、ヒントを見つけるべく一冊づつ紐解くつもりだ。

インバウンドで賑わっているニュースを観る事はあるが、虎竹の里のような田舎ではあまり関係のない話だ。そんな事を思っている先日、驚くべきことが起こった。台湾から、一人のお客様が突然に竹虎へ来店されたのだ。何かのついでではなく、まさに竹虎の黒革雪駄を求めて、わざわざ飛行機に乗り、日本へいらっしゃったとの事。その目的は、長年愛用していた「黒革雪駄」の修理をお願いするためだった。
お客様は数年来、ネットを通じて手にいれられた黒革雪駄を愛用されており、履き心地の良さと耐久性に惚れ込んでくださっていた。しかし、さすがに長年使い続けると、どうしても劣化は避けられない。そこで「修理してもう一度履けないか」と考え、直接竹虎まで持参されたのだ。

自分たちも可能な限りご要望にお応えしたい気持ちは山々だが、残念ながら黒革雪駄の修理は難しく、新しいものをご案内することになった。すると、お客様は「これほど履き心地の良い履物は他にない」と、なんと新しい雪駄を二足もご購入されたのだ。しかし、自分達が何より驚いたのは、この方の旅程である。普通、海外から日本への旅行となれば、観光やショッピング、食事など様々な予定を組むものだ。ところが、このお客様は本当に「黒革雪駄を買うこと」だけを目的に来日されていた。他の予定は一切なく、ただ竹虎の店舗へ足を運ぶためだけに台湾から日本へ来られている。この熱意には、自分達も少なからず感動した。

黒革雪駄は、天然素材の持つしなやかさと丈夫さ、そして長時間履いても疲れにくい設計が特徴だ。竹皮の風合いは履くほどに足に馴染み、まるで自分の一部のように感じられる履物へと育っていく。ボクの手に持つ真新しい新品と、台湾かからのお客様のはき込んだ色合いを比べて欲しい(笑)。このような雪駄を、ここまで愛してくださる方がいることに、改めて深い感謝の気持ちを抱いた。海外にも竹虎のものづくりを理解し、共感してくださる方がいる事が自分たちにとって何よりの喜びだ。

今回の台湾からの来客で、改めて「良いものを作り続けることの大切さ」を実感している。日本の伝統のモノづくりに共鳴し、遠く台湾からでも足を運んでくださる方がいる限り、自分達も誇りを持って竹製品を作り続けていく。また、このお客様はボクがいつも着ている作務衣にも興味を持たれ、翻訳機能を通じて話しているうちに決して安価ではないのにご購入頂いた。日本らしさや、日本文化は海外の方にこそ響いているのかも知れない。

復刻した流鏑馬笠は少しづつ愛好家の皆様に届けさせていただいている。そんな中のお一人が、ご自身で好みの形にされたいとの事で、柿渋と漆を塗布する前の、生地の状態で笠をお届けしていた。すると、ご自分流に形をアレンジされ、素晴らしい流鏑馬笠に仕立てられたのだ。

ツバの両端か立ち上がり、笠の前頭部が狭くなった作りは、走っている馬上から弓を射らなければならない流鏑馬の射手が被るにふさわしい形になっていて目を見張った。

光の加減によって、深みのある色合いが浮かび上がる塗り重ねた漆も、耐久性と見栄えとの両方を兼ね備えていて魅力的だ。軽く丈夫でありながら、独特の美しさを持ちながら強い風や激しい動きにも、しっかり頭部に固定される流鏑馬。

しかし、その機能性を生み出す竹編みの下地こそが大事、一本一本正確な幅と厚みに揃えられた柾の竹ヒゴを緻密に編み込む竹職人の技がなけば、とうてい出来あがるものではない。
流鏑馬笠には、国産では本当に少なくなった竹網代笠の技術が活かされている。

五徳の取り付け方、直接頭に当たる枕、顎紐など本当によく考えて作られている。笠の竹編みばかりを考えていたが、実際の射手の方ならではの実用的な造作は非常に参考になる。

竹製品は、使う人によってさまざまな表情を見せる。職人の手による伝統的な製品も素晴らしいが、それを手にした人が更に自分流に手を加えることで完成するものもある。流鏑馬笠が、このようにして実践的な、個性的な笠へと昇華されたことを大変嬉しく思っている。

竹の持つ可能性は無限大に広がっている。伝統と創造の融合によって生まれた今回の流鏑馬笠のように、竹製品をカスタマイズし、自分だけの特別なアイテムを作る楽しさも、ぜひ多くの人に知っていただきたい。
虎竹の里のには、JR四国の線路が通っており、太平洋が一望できる景色が美しい事で知られる安和駅がある。無人駅であり、急行が停まらないため、一日に上りが5本程度しかない長閑な駅だ。先日、久しぶりに汽車に乗る機会があった。たまに乗る汽車は結構ワクワクする(笑)。車に乗ってばかりなので、いつもとは違う車窓の景色も楽しみだし、狭いシートも他のお客様との距離が近くて悪くない。しかし、さすがに次の便まで3時間ほどもあるので、急行の発着する須崎駅まで車で乗せてもらった。

須崎駅の待合室に座っていると、中年の女性が近づいてきて声をかけてくれた。
「竹虎さんですよね?」
今日は前掛けだけでなく、前掛けから作ったリュックサックも持っているので一目で分かるようだ。

その方は、長くヨーロッパで暮らされていたのだが、最近になって生まれ故郷の高知に帰ってきたらしい。そして、驚いたことに竹虎のYouTube動画「ウィズコロナ(COVID-19)時代!ソーシャルディスタンスを保つ竹製品!感染症防止・帽子!」などもご覧になられていた。何でも小さい頃に母に連れられて、竹虎に何度か立ち寄った事があられるとの事だった。

「母が使っていた財布があるのですが、壊れてしまっています。修理ができますか?」

どんな竹財布か伺ってみると、ボクがたまにお話する昭和の時代に一世を風靡した竹ビーズの製品だった。竹ビーズには球形や楕円球のような形など、大きさも色も様々なタイプがあり、それらを組み合わせてハンドバック、セカンドバッグ、ショルダーバックといったバッグ類のみならず、ベルトやネックレス、財布などの小物類も多数作られていたのだ。思わず懐かしくなって、是非一度拝見させてくださいと快諾した。笑みを浮かべて目の前におられるこの方が、お母様の使われていた竹ビーズの財布を、幼い日の思い出と共にお使いいただけるようになれば、こんな嬉しい事はない。

そして、改めて思った。竹虎には130年余りの歴史があり、ボクたちがインターネットで情報発信するずっと前から実は皆様に知られていた。日本唯一の虎竹という貴重な竹文化を繋いでいく会社として、多くの方に昔から応援いただいていたのだ。先人の偉大さに感謝しながら汽車に乗った。

竹炭枕を竹虎本店に置くようになってから、かれこれ30年近くになると思う。流行などとはあまり縁がなく、昔ながらの竹細工、竹製品を製造・販売してきたので40年、50年と全く変わることなく店頭に並び続けているモノが多いけれど、竹炭枕もそんなロングセラーの仲間のひとつだ。それでも、少しづつリニューアルしながら進化させてきた竹炭枕には、昔からの定番タイプと、新しく作ったものと二種類あるので、お客様からどちらを選べばいいのか?とお問い合わせを頂戴する事がある。

どちらも消臭性、調湿性に優れた国産竹炭を100%で作った枕だ。日本の孟宗竹を使う竹炭なので、皆様にお求め頂くことが国内の竹産業を支え、竹林を守ることに役立っているので、どうかご安心していただきたいです。そして、その事のにはいつも、お客様の皆様には心から感謝している。
前々からある定番の快眠の竹炭枕は、昔ながらの土窯を使い高温で焼き上げた最高級の竹炭を使っている。熟練職人が焼き上げる竹炭は飲料用、炊飯用などにも人気であるものの、価格は少し高めになっている。そこで、国産竹炭100%熟睡ピローは機械窯の高温で焼き上げた竹炭を材料に使う事にした。価格を少しでも抑えて、ご家族がも皆様でご愛用頂けるように工夫した枕なのだ。
基本的な機能性には違いはないけれど、快眠の竹炭枕が約3キロの重さがあり高さも約6センチと低めなのに対し、国産竹炭100%熟睡ピローは約1.3キロの少し軽めの質感の竹炭になり、高さは約8センチだ。

竹炭枕には消臭や調湿効果だけでなく、肩こり、首こりといった悩みを抱える皆様にもお使いいただいている。下記のような沢山のお声を頂戴するスグレモノを、一人でも多くの方にお届けしたいと思い新しい国産竹炭100%熟睡ピローを開発したのです。
「肩から背中に鉄板が入ったような痛さで寝つきも悪くなっていたのですが竹炭枕を使った日から翌朝は楽になっていき毎日毎日徐々に楽になっていきました。朝起きたときの 肩 背中がぜんぜんちがってきたんです。」
「ほんまに不思議な枕です。私は頚椎の椎間板ヘルニアと首の椎骨動脈損傷の為、首が疲れやすく、肩こり、頭痛、寝違いになるとなかなか治らず、しょっちゅうカイロで治療をうけていました。一ヶ月程前もカイロに行かないと無理かなと、お金も時間もかかるなと、思い切って、この枕をかいました。いちかばちかかけました。一日目は痛くて、後悔。やっぱり枕でよくなるわけないか、と。でも何日か経った時、そう言えばマシと。でも、気の性かも、と。つい先日、高校生になった娘に枕を試させました。そしたらどうでしょう。娘は一回じゃ分からず。なんと私の調子が悪く、その日の娘の入学式は散々でした。
ほんまにこれっていい!! 手放せません。旅行に行くときもいります。重いしどうしようと、旅行の予定もないのに悩んでいるおばさんです。」
「ひどい肩こりで、いろいろな枕を変えてみましたが、疲れが取れない事が多く、あきらめていましたが、この枕を紹介してもらい、使うようになってから、本当にぐっすり眠れるようになりました。はじめは、一か八かで買いましたが、気づくと嘘のように肩こりも和らぎ、今では、手放す事ができません。肩こりで苦労している人は、是非、試してもらいたいと思います。」
「約30年、枕ジプシーだった私です。御社【竹炭枕】を使い、翌日のスッキリした目覚めの良さに嬉しくて嬉しくて涙が出そうです。肩の凝り、首の凝り、頭の重さで目覚めの悪い日々から解放され、本当に一日の始まりが快適だと、こんなにもイキイキするのかと自分でも驚いています。」
「藁をもすがる思いで購入し、つかってみたところ、初日からすぐに眠れました!そして、何より驚いたのが、起きがけの痛みやしんどさが全くなく、スッキリ起きれたのです!(今まではなんだったの...?!)というくらいビックリでした。」
「両親に感想を聞いたところ、父親は使用して第一声が「こりゃ、よかー、寝心地がいいぞ、はよう、つかわなきゃ」と母親に促したそうです。今では「これは、おれにあってよかー」と毎日睡眠の友になっているようです。母親も今まで使用した枕に比べ中身がしっかり入って寝心地がいいといっていました。私も、送ったものが相手に本当に喜んでもらえるのが一番うれしいです。迷って、迷って思い切って購入した甲斐がありました。」
「本当でした.お客様の感想、大げさなんじゃないの?正直そう思っていましたが、なんだかわからないけど、本当にぐっすり眠れるんです。朝起きたら痛かった体も高さか硬さか、癒しの効果か、とにかくすっきりしてるし痛くない!なんなんでしょう?!こうして私も絶賛する仲間入りをさせていただくのでした。」

青竹踏みは日本古来の健康法のひとつで、足つぼを踏んで刺激を与えるだけなので、誰でも簡単に毎日の健康習慣に取り入れやすい。ある時、大学の泌尿器科の研究報告で頻尿の改善に役立つという報告されているのを知った。何でも、足裏の刺激が神経を通じて膀胱の働きを活性化し、血流が良くなるためらしいが、改めて青竹踏みのパワーを感じて毎日使ってみることにした。

竹を半分に割っただけのように見える青竹踏みだけれど、さすが老舗竹屋だけあって竹虎には青竹踏みも数種類あって、それぞれに特徴がある。一番の大きな違いは直径なので、初めて青竹踏みで足つぼマッサージを試される方は、大きくてアールがゆるめの孟宗竹を使ったものをオススメするようにしている。直径の小さいモノは、少し小振りな真竹で製作するが、アールが急な角度になり足つぼをピンポイントで刺激するから、上級者用の踏王(ふみお)と言う商品名で販売して人気になっている。実は細めの竹踏みは、適材が少なくてインターネットで探してもあまり見当たらないのだ。

ボクの場合は更に細い竹を選んで使っているのだけれど、足裏へのダイレクトな刺激が病み付きになってしまう。だから、自宅にも、職場にも置いてあり隙間時間でいつでも踏めるようにしている。そうして青竹踏み(足つぼ)を続けた結果、実は夜間に少なくとも一回はトイレに起きていたのが、すっかり最近は無くなって気がつけば朝になっている!
まだまだ若いつもり(61歳)だが、頻尿気味で飛行機やバスに乗る際に不安を覚えた事があるので、同じような悩みの方の気持ちが分かるようになった。たかがトイレではない、トイレのお陰で行動が制限されることの不自由さを知った。ところが、本当にそれが青竹踏みのお陰で解放された気分なのだ。

頻尿や高血圧の改善効果を得るためには、朝晩に2~3分ずつフミフミするのをオススメしている。土踏まずをしっかり刺激し、かかとやつま先もバランスよく使うことで、より効果を感じることができる。テレビを観ながら、ハミガキしながら出来るので肩ひじ張らず続けられると思う。ボクなど一家に一台、常備されているのが普通と思っていた青竹踏みが、近年は忘れられつつあったけれど、こんな形で復活して「竹のある暮らし」が多くの皆様のお役に立てればと思っている。

「そんなに嬉しいのか?」先週から楽天の話題ばかりなので、そう言われる。22年間も鳴かず飛ばずだった竹虎が、楽天内にあるNATIONSと言う勉強会で教えてもらった途端、出店者なら一度は夢見るであろう「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を授賞したから素直に喜んでいるのだ。

高知県は四国四県の中でも、特に楽天出店者が少ないと聞いている。そのせいか57000店舗の中から、わずか0.25%という超難関の大きな授賞なのに、ボクの周りにはピンと来ていないヒトばかりだ。自然が豊かで美味しいモノ、優れたモノが多い高知は、ずっと前から地産外商と言ってきたはず、なのに、これでは「外商」ができていない証だろう。

もちろん、インターネットだけが販路とは言わないし、楽天市場だけがネット通販でもない。ただ、地方に暮らす、弱く小さいボク達が、他の方々と同じ土俵に立てるのは此処以外ない。日本唯一の虎竹を知っていただく手段として最高のツールなのだ。

そして、「ネット通販=楽天」と思っているお客様もいるほど圧倒的な存在感を持ち、強固な経済圏が確立されている楽天は、やはり一番の近道だと感じている。

現状に満足してビジョンを描けているのなら良いけれど、ボクのように今も苦しくて、将来に不安がある商人なら挑戦すべき。

竹虎は、楽天に救われた思いだが、同じように、今までどれだけ多くの地方に光を届けてきたのか。23年目にして、はじめてツーショットを撮らせていただいた三木谷浩史会長兼社長の横で思った。

創業文化三年の老舗「志保重」の清水雅彦さんから連絡をいただき、敦賀に講演にお伺いした時のことを思い出した。ボクはインターネット通販こそ究極の対面販売であり、自分のお客様をしっかり見定めないとダメだと考えいる。そこで、人前でお話する際には、熱血野球漫画「侍ジャイアンツ」で主人公のライバルとして登場するウルフ・チーフのことを、いつも例に出して話している。崖の上に槍を一本持ったウルフが、無数に走ってくるバッファローの群れにやみくもに槍を投げて失敗を続ける姿が、3年間もネット販売に取り組みながら、300円しか売ることができなかったダメな自分の姿に重なっていたからだ。

そもそも、虎竹は日本唯一の素材で、ボクたちは誰にも負けないつもりだ。どこにも無いような、良い竹製品作りをしているから、きっと売れるに違いないと勘違いしていた。画面の向こうに何千万人いようとも、自分の持つ一本の槍を、一人のお客様に向けて投げる事を知らなかったのだ。

そんな何でもないような話を清水さんが覚えてくださっていて嬉しかったのだが、その講演会場の最後列の席で、もう一人、話を聴いてくださっていた方がいた。

その方は、ボクが話を終えるやいなや立ち上がり、まるで人目を避けるように足早に会場を去って行った。数年前から交流があったので、アルバイトをしながら創業を果たしたばかりだと知っていた。だから、忙しく時間もない中、それでも勉強を欠かさない熱心さは、さすがだなあと感心していた。

あれから10年......。
彼の会社は急成長し、年商は130億円を超え、社員数も240名となった。先日の楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024で初の総合グランプリを獲得した「越前かに職人甲羅組(DENSHOKU)」の田辺晃司さんが、その人。テレビや映画でしか見られないようなことが、実際に目の前で起こっている。田舎にあっても、自分たちの価値を日本全国に直接お届けできる。やはり、インターネットの世界は素晴らしいと思う。

皆さま、いつも竹虎をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。この度、ボクたち竹虎は、楽天市場における最高の栄誉である「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024サステナビリティ賞」を受賞することができた。日頃のご支援と温かい応援を頂く全国の皆様のおかげです。感謝申し上げます、本当にありがとうございます!
老舗竹屋であるものの、経営環境の変化や輸入竹材の増大になどで赤字が続き、倒産・廃業の一歩手前だった竹虎が、楽天市場に出店させて頂いてから早いもので22年になる。デパート催事、観光施設への出店、イベント販売、ギャラリーでの個展、紙通販と何をやっても失敗ばかりで、最後の最後に海のものとも山のものとも分からないインターネットに、ワラをも掴む思いで挑戦した。

田舎の小さな竹屋だ、情報も何もない時代だった。流れの早いインターネットの中でも、とりわけ浮き沈みの激しい日本最大級の楽天市場では、日本各地から全ての業種においてトップレベルの強者が集う中で翻弄され続けた。
まったく先行きの見えない、五里霧中のような時代で試行錯誤の繰り返し。地域資源の虎竹の素晴らしさを一人でも多くの方に伝えたいと、その想いだけで続けてきた。それでも、虎竹の里を守り続けたい、地域の職人技を繋ぎたい、何度口にしても思うように成果が出せず、周りの心は離れていく。

不甲斐なく思い、挫けそうになることもあったが、そのたびに支えとなったのは、お客様からいただく温かい言葉だった。
「竹虎の商品が届くのを楽しみにしています。」
「国産の丁寧なつくりに感動しました。」
「竹のおかげで生活が快適になりました。」
そんな声と共に、ひとり又ひとりと、負け戦のような毎日に共感してくれる仲間が増えていく。
すると、また、応援の声が大きくなり、その好循環が竹虎の原動力になってきたのかも知れない。
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今回の受賞は、竹虎を信じて選んでくださったお客様、そして共に汗を流して頑張ってくれた社員全員の努力の結晶だ。そして、地域の方々や内職さん、協働会社様、一緒に竹林を守り育ててくれる職人さんたちなど、多くの方々の支えがあってこその成果だ。この場を借りて、改めて心からお礼を申し上げたいと思う。

受賞の喜びを胸に、これからも「虎竹のある暮らし」をお届けしたい。竹の持つ無限の可能性を追求し、新しい商品開発にも果敢に取り組んでいくので、どうぞ今後とも応援をお願いたします。
最後に、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」を読んでくださっている皆様へ。インターネット通販に、モール店も自社ドメイン店もない。竹虎楽天店22年間の歴史は、皆様と共に歩んできた歴史そのものだ。楽天市場を、あまり知らない方々も、日頃利用されていないお客様方も、実は皆様がこの大きな受賞の背中を押してくださっている。
だから、夢のまた夢であった、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024サステナビリティ賞の感謝の気持ちは、皆様お一人ひとりにお届けしたい。今日から、初めて出店する気持ちで頑張ります、本当にありがとうございました。